• 2025.01.15
  • 世界最高のチーズ大会

ワールドチーズアワード World Cheese Award (WCA) 2024が、初めてポルトガルで開催されました。チーズに特化した世界最大のイベントとみなされており、別名「チーズ・オスカー賞」の名をもつほどの規模を誇ります。
この度、第36回目の舞台となったのは、ポルトガルのヴィゼウでした。
11月15日から17日の期間中、解説付きの試食、試飲、チーズや地域産品に関する「ワークショップ」、国内最高のシェフによる 8 つの「ショー クッキング」セッション、ライブ音楽、一般公開される無料の「チーズ サミット」や美食フェスティバル、また週末には、審査員と一緒に厳選されたチーズを試食するWCAのガイド付きツアー、生産者フェア、試食と製品プレゼンテーション、ワインとチーズのペアリング、他にもチーズに関する様々なアクティビティが用意されていました。

しかし一番の目玉は、なんといっても、2,400 平方メートルの広さで行われる、「世界最大のチーズ コンテスト」でしょう。今年は史上最も多くのエントリーがあり、47 か国から集まった 4,786 個のチーズが、40 か国から集まった 240 人の審査員によって評価されました。審査員は、チーズの分野の専門家である技術者やチーズ グレーダー、小売業者、バイヤー、シェフ、ジャーナリストで構成されていました。


World Cheese Awards 2024 Guild of Fine Food/Paulo Fernandes

そして2024年、世界最高のチーズに選ばれたのは…ポルトガル産のチーズです!
Quijaria Quinta do Pomar (ケイジャリア・キンタ・ド・ポマール社)の Queijo de Ovelha Amanteigado (バターのような羊のチーズ)が最高得点を獲得したのです。


World Cheese Awards 2024 Guild of Fine Food/Paulo Fernandes

ポルトガルは小国ですが、いろんなチーズがあると思います。中でも私が特徴的だと思うのが、 Quijo Fresco(フレッシュチーズ)と今回のイベントで選ばれたQueijo Amanteigado(バターのようなチーズ)です。
前者のチーズは、その名の通り固くなる前のフレッシュな状態のチーズで、牛、ヤギ、羊のお乳から作られる。地元のカフェや小売店に毎週決められた日に届けてくれるので、できたてを食べることも可能です。「お乳臭い」と苦手な日本人もいるが、癖がなく、ふわふわとした食感で、ちょうど作り立ての豆腐のよう。塩やこしょうをかけていただく事が多いが、父は、軽く醤油をたらして食べていたのを思い出す。
もう一つが、バターのようなチーズ。これは、ポルトガル中部地方の典型的なチーズで、上部を切り落とし、ほぼ液体のペーストをスプーンですくって食べる。とろっとした中に、強烈なチーズのうま味と、微妙な苦みが含まれる。買いに行く時は、チーズの腹の部分を指でつついて、好みの柔らかさを選ぶのが良い。柔らかいほど、中のチーズがクリーム状ということだ。


今回のWCA2024で、実は残念な事が起きていた。それは、英国産のチーズが税関で足止めされ、世界最高を競うチャンスを奪われたこと。イベント開催当日の金曜日、チーズが承認されていないことが明らかになり、67のメーカーの最大252のチーズが影響を受けた可能性があるらしい。
英国がEUを離脱して以来、チーズの輸出入が非常に困難になっているとの発言があった。また、WCAを主催するギルド オブ ファイン フードの拠点が英国というのも、なんとも皮肉である。


他の受賞者に興味がある方は、こちらから。
https://gff.co.uk/articles/2024/11/spoonable-cheese-from-portugal-named-best-in-the-world/

特派員

  • 太田めぐみ
  • 職業修復士、通訳、コーディネーター/Insitu(修復)、Kaminari-sama、ノバジカ、他

ポルトガル在住の保存修復士。主に、絵画(壁画)や金箔装飾を専門にし、ユネスコ世界遺産建築物や大統領邸の内部を手がける。シルバーコースト近くの村で、地域に根付いた田舎暮らしを満喫している。趣味は、土いじり。

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