• 2019.02.06
  • スキーとペルヒテンラウフPerchtenlauf
ドイツの南方に位置するバイエルンとオーストリア(特に有名なチロル地方)は北イタリア(Süd Tirol南チロル)とスイス同様、雪景色が素晴らしく、スキーヤーにとっては夢のような最高のゲレンデ。



ゴンドラで山頂近くに行くと上級者コースだけではないかと怖い感じもしますが、なだらかな初心者コースが沢山あるので子供達も美しい景色を眺めながらスキースクールで基礎を勉強できます。また、山の麓にまだ雪が降っていない時期でも、山頂近くでは雪がいっぱいあることもあり、スキーをしないで山頂のレストランでビールを片手に日光浴するのも楽しみ方の一つのようです。
スキー場は十何本ものリフトが入り組み、赤色の初心者コース、青色の中級クラス、黒色の急傾斜の上級者コースと色分けされているので、事前に大体のコースを頭に入れておくと、安心して色々な風景を楽しみながらスキーができます。

ペルヒテンラウフPerchtenlauf
クリスマスのアドヴェントから年始にかけて、バイエルンとオーストリアでは鬼のような「ペルヒトPercht(亡霊)」が行進する「ペルヒテンラウフPerchtenlauf」という伝統的な民俗行事があります。(またアルペン地方にはクランプスという悪魔もいるそうです)。これは自然に基づく対照的な考えからきており、例えば「夏」と「冬」、「日中」と「夜」、「善」と「悪」を表しており、ペルヒテンには二種類「醜いペルヒテン」と「美しいペルヒテン」があります。「醜いペルヒテン」は怖い鬼のような「ラルベLarve」というマスクをつけ、腰につけた複数の鈴をシャンシャン鳴らしながら悪い子供がいないか探しにきます。


日本でも雪が沢山降る秋田では怖い仮面をつけた「なまはげ」が出刃包丁をもって「悪い子はいねがー」と子供や怠け者を探しにきますが、やはりどこの雪国にはこんな怖い生き物が棲息しているのでしょう…。

またこの冬の悪魔を追い払う儀式で、馬に乗ったまま長いムチをパンパンと振り回す光景には圧巻です。近くにいる観客は危ないムチを小さくかがんで上手によけています。



悪いペルヒテンが過ぎ去ると、「美しいペルヒテン」の行進がやってきました。男性はマスクをした頭の上に大きな冠をかぶり、鳥や獣、ジュエリーや医者の道具などがついており、色々な職業の亡霊が現れます。


寒い冬の夜、小さな街にどこからともなく沢山の人々が訪れ、グリューワイン(ホットワイン)やキンダープンシュ(子供用ホットドリンク)を飲みながら、伝統儀式により新年の平和と健康を祈るのでした。

特派員

  • 理夢
  • 職業いけばな活動家

ドイツ在住7年目。海外で「和の心」を忘れず、「いけばな」と「着物」を中心に日本文化活動を行う。日本の美を広めるべく、また次世代にも継承していけるよう精進して参ります。

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