毎年5月頃、ドイツ全土よりいけばな愛好家達がフランクフルト近郊に集まり、「いけばなコングレス」が3泊4日で開催されます。
今年は小さな流派を紹介したいとのことでお声をかけていただき、セミナー講師として初参加して参りました!
コングレス参加者130名のうち、日本人は日本から小原流の先生を含めてわずか3名。そして、ドイツ及びスイスのいけばな愛好達の熱狂ぶりには驚かされました。なぜなら、25年以上毎年参加している方や、85歳、90歳の元気なおばあちゃんまで、なんと300〜500km以上かけて参加される方も多いからです。
いけばなは「華道(かどう)」とも言われ、生涯かけてお花と共に道を歩んで行くものですが、こんなに多くのドイツの方々が日本の文化に魅了され、お年を重ねても華道を全うされていることに嬉しく思いました。
多くの方のご意見はお花をしていると無心で集中でき、出来上がった美しい作品を見ると心が癒されるそうです。日本の精神的な幸福感はある意味長生きの秘訣でもあると実感しました。
いけばなの流派には家元制度があり、「池坊(日本最古で立花が有名)、「草月(自由花が人気)」、「小原流(盛り花の考案者)」などそれぞれが特徴ある生け方をします。
中でも「古流」は江戸時代中期に「天・地・人 (導くもの、従うもの、和するもの) 」の調和の原理を取り入れた「お生花」を得意とした古典的ないけばな流派です。また、私の所属している「古流東洋会」は枝分かれした一つの流派で、色紙にかかれた墨絵のようないけばなを「水墨花」と呼び、「和歌」の朗詠と共にいけ、最後に袱紗を使った所作で活けたところを清める「水墨花点前」という独自のお点前があります。
今回は2時間半のセミナーが3回とのことでしたので、この水墨花点前の手ほどきと「投げ入れ(テーマ:もみじ又はユーカリと芍薬)」をしてきました。
セミナー参加者の方々は、ドイツ人ベテラン華道家の皆さんで、それぞれ他の流派の看板を背負い、流派の壁を超えた文化交流はかけがえのない体験となりました。
また、他のセミナーの一つで「趣向花」をテーマにした小原流のZoo-Lanさんはいけばな歴約50年で、私が尊敬する華道家の一人です。
バナナの葉の上に、ぶどうの木や果実を使い晩餐会用のテーブルデコレーションは、いけばなの技術と想像力を最大限に生かした斬新的な作品で息をのむような美しさでしたのでご紹介させていただきます!!
他のセミナーの写真(花伝流、小原流)
私はまだまだ中堅クラスですが、このような貴重な機会をいただき、ようやくドイツで華道家としてスタートできたような気がして嬉しいです。
いけばなの技術は練習しないと鈍りますが、磨けば磨くほど輝くので、人生の先輩方よりこれからも色々と学ばせていただき、これからも沢山の方々にいけばなの楽しみを広げていけたら幸いです。