60周年記念日を迎えるにあたり、スタッフ全員でお揃いのジャンパーを作ろうということになりました。これは別に文化省やパラカスミュージアムの経費で作ろうというのではなく、個人個人でお金を出しあって作ります。会議の中で、どんな仕様のお揃いの服にするか?から始まり、色は何色で、どのロゴを使おうか?など真剣に話し合いをしました。話し合いの結果、黒のジャンパーの背中部分に白ベースのミュージアムロゴをドーンと大きく入れて、左胸のところに各自の名前+苗字のイニシャル(私の場合はSHOKO.Y)と入れようということになりました。なんと、話し合いをしたのは、60周年記念日の3日前。同僚のホセの知り合いに頼んで、急ピッチで製作してもらいなんとか間に合いました。(仕事が早かった!)やはり、この国でも人脈をどれだけ持っているか?ということが重要なんだなあと思います。その場へ行かないとわからない情報がとても多かったりもするので、いろいろな場所へ顔を出して、繋がりを広げていかなければいけないなと日々感じています。
60周年記念日当日は、朝から何かと忙しく、アクティビティの連続でした。まずは、ミュージアム入口の前でスタッフ全員で集まり、ペルーの国旗掲揚・国歌斉唱を行いました。国歌斉唱の際は、右手を左胸に当て、のぼりゆく国旗を見つめながら歌います。国歌が終了すると、拍手をし、解散という流れでした。
ちなみに、ペルーの国歌は私が住むまちイカ出身のホセ・デ・ラ・トーレ・ウガルデさんが作詞をしたと言われています。スペインから独立したときに作られた歌詞のため、Somos libres(私たちは自由だ)という言葉から始まります。国歌斉唱の後は、次から次へとお祝いに駆けつけてくれたお客さんの対応をしながら、スタッフ全員で食事をするための準備をしました。
ペルーでお祝いごとには欠かす事のできないホールケーキもいただきました。食事を終えた後は、パゴアラティエラ(El pago a la tierra)という儀式を行いました。パゴアラティエラは、アンデスの人々が行なってきた習慣で、大地の恵みに感謝し、大地の空腹と喉の渇きを満たすために、さまざまなお供え物をする儀式だそうです。古くから、8月は地球が乾くため、栄養を与えなければいけないという考えがあったそうです。地方によっても、仕切る人によっても、若干やり方が異なるようなのですが、今回の儀式はこのような順番で行いました。
①穴を掘る位置を決め、お供え物を布の上に置き、スコップを使って穴を掘っていきます。
②ある程度穴が大きくなってきたら、火をつけた木やお花、コカの葉をお供えしていきます。
③口の中でコカの葉を噛みながら、ピスコを口に含み、しばらくしてから口から出します。
④タバコに火をつけ、タバコを吸いつつ、その煙を口から穴に向かってはきます。
⑤火をつけたままのタバコを穴のまわりに立てかけます。
⑥それからチョコレート、キャンデー、ピスコ(お酒)を穴の中へお供えします。
⑦全てのお供え物を穴の中に入れた後、お供え物に火をつけ燃やし、穴の周りをみんなで囲み、手を繋ぎ円になりながら、しばらく目を瞑ってお祈りします。
⑧石や砂で穴を塞ぎ、元の地面の姿に戻して終わりです。
なぜこの儀式でタバコを吸うのかなと思ったのですが、「あ!日本のお線香とタバコはもしかして同じ役割なのかなあ・・・?」と勝手に解釈していたら、この儀式に親近感が湧いてきたりもしました。この大昔から伝わる儀式を行い、60周年のイベントは終了しました。周年イベントもさまざまな形があるんだなと思いながら、せっかく60周年に居合わせたのだから、100周年まで頑張って生きて見届けたいなと思いました。それではこのあたりでアディオ~ス!南米ペルーのイカ州パラカスより山本粧子でした。