• 2020.12.28
  • お医者さんごっこ
どちら様におかれましてもおよそ例年とは違うクリスマスを迎える事となりました。とは言っても子供達にとっては今年も待ちに待ったプレゼントのシーズンです。ローマ教皇自身よりも教皇信者(más papista que el Papa)とまで言われたコテコテのカトリック国スペインでは12月24日ではなく、聖書の記述通り、キリスト生誕から13日後の“東方の三賢者の礼拝”にちなんだ1月6日(5日の夜)にプレゼントを贈るのが今までの習慣で、クリスマス前夜に登場するサンタクロースの影は薄かったのですが、グローバリゼーションとやらの影響もあり、この恰好なビジネスチャンスを逃すまいとの商業戦略も相まって12月にプレゼントを配達するサンタの存在も年々大きくなってきました。

そんな贈り物シーズンの今が商機のおもちゃ業界が新商品を開発して子供達の憧れを掻き立てている中で世相を反映した“ごっこ遊び”が発売されました。大人のマネをする所謂おままごとで、炊事、洗濯、赤ちゃんの世話から、電車ごっこ、など何かの役になりきって行うロールプレーイングゲームの一種でしょうか。この新製品はなんとお医者さんごっこの変形でその名も“VIRUS TESTER” ビールス検査ごっこなのです。


セットにはマスク、患者用ガウン、治療用溶液、便と粘液検査、血液採取、治療電極(?)etcなどが含まれているようです。


採血はお尻から。


オムツから検体採取。


試薬を入れたら陽性反応がでました。


清涼飲料水的治療薬(?)を点滴。


なんと電気ショック療法まで採用。


滅菌処置も施されます。

事程左様に世相を反映するおもちゃ業界、定番の着せ替え人形たちも御多分にもれず、みなさんマスク着用ですし、ビールス退治のボードゲーム(双六)まで商戦に参加しています。


マスクを着けたナンシー嬢


ストップ・ザ・ビールス すごろく

ところで、サンタクロースのモデルになったのはBC3~4世紀のニコラス聖人San Nicolás de Bariという説があります。オランダではシンタクラースSinterklaasと呼ばれ毎年スペインから船でやってきて贈り物を配ってくれるのですが、スペイン市民戦争の際、オランダの子供達が“戦争をしているので今年はシンタクラースは来られないのか”と心配していると知った当時のスペイン共和国政府は特別機でオランダの子供達へ贈り物を運んだそうです。そのお返しとしてオランダから贈られるチューリップが春のマドリードの街を飾るとか。



サンタクロースのモデルとなったといわれるニコラス聖人San Nicolás de Bariです。船乗り、ひいては漁師、また子供達の守護聖人としても知られていて、背景には荒海を鎮めるお姿が描かれています。海運国オランダでの信仰が厚いそうです。プラド美術館蔵

ついでと言ってはなんですが、三賢者の礼拝2例



その1.この静謐で厳かな礼拝はベラスケスのセビリア時代20歳の時の作品です。プラド美術館蔵


その2.こちらはほとんど同時代に描かれたルーベンスによる礼拝です。ベラスケスとは打って変わって

まあなんともお賑やかな一大デレゲーションが誕生を祝いに押し掛けました。プラド美術館蔵

特派員

  • 山田 進
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

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