• 2021.01.22
  • スペインにもワクチン到着
アメリカの薬品メーカーPfizer社がドイツのBioNtech社と共同開発をしている抗新型コロナビールス感染症ワクチンのヨーロッパでの製造拠点はPfizer社のプールス(Puurs)にある工場です。ベルギーの首都ブラッセルから車で30分程度、人口2万6千人程の小さな町ながら第二の港湾都市アントワープ(Antwerp)からも25kmとそのアクセスの良さからベッドタウンとしても注目されていて、また愛好者の間では有名なDUVEL(悪魔)というビールを醸造している町として知られているそうです。


COVID-19 ワクチン

そこから出荷されたスペイン向け最初のワクチンはクリスマスの夜フランスとの国境の町イルン(Irun)市に到着、スペイン治安警察(Guardia Civil)に引き継がれて、その護衛の下ひとまず、北西部の町レルマ(Lerma)市の営舎まで運ばれ一時保管されました。その後マドリード県に隣接するグアダラハラ(Guadalajara)県にあるPfizer社の物流部門を担当するIDLogistics社の倉庫に26日朝07時30分に到着。スペイン全17州に分配されました。今回の発送はヨーロッパで一斉に投与が始まる12月27日に間に合わせてシンボリックな意味で9720回分のみですが、翌日月曜日12月28日からは12週間毎週35万回分が搬送されるという事で単純計算すると約210万人に接種できることになります。


ワクチン到着

スペインで最初のワクチン接種は前述の倉庫から10kmしか離れていない県庁所在地グアダラハラ市にある州立の“高齢者施設モミの木園( Residencia de mayores Los Olmos)” で行われました。短い距離ながら国家警察、市警察、治安警察から派遣された4台のパトカーに護衛されながらの移動でした。

そして27日朝9時に施設内で行われた記念すべき接種の第一号になったのは入所者の最高齢御年96歳のアラセリ・イダルゴ(Araceli Hidalgo)さんです。それから第二号は看護助手としてアラセリさんのお世話もしているモニカ・タピアス(Mónica Tapias)さん、スタッフのなかでは最年少の48歳です。 ベテランぞろいの施設なんですね。 現在の入所者は70名、スタッフは120名で接種希望者は入所者が60人、スタッフ118人とのこと。コロナ禍が始まってからこの施設ではすでに13名の方がお亡くなりになっていてこのワクチンには皆さん大きな期待を寄せていたそうです。


ワクチン接種をうけるアラセリさんとモニカさん

ここで自らの恥をさらすことになりますが、一気に大量のワクチンが供給されるとなると接種の際に不可欠な注射器が足りなくなり、『ワクチンあれども注射が出来ず』とコロナ禍初期のマスク騒動と同様のパニックが起こるのではないかという流言飛語がまことしやかに飛び交って、浅はかにも薬局に駆けつけ注射器を2人で二回分と予備で1本づつ合計6本を3ユーロ(約375円・単価50セント)で購入してしまいました。

ところがワクチン投与が開始された今、どうも在庫は潤沢な状況のようですので折角備蓄した注射器6本,他の使い道を模索している最中です。インクジェット方式プリンター用カートリッジのインク補充用とか、化粧水やアルコール、お醤油など液体を小さな携帯容器に移すとか、中身がパサついてしまった餃子に肉汁を注入してジューシーに仕立てるとか・・・・新年早々たわいもないお話で恐縮です。


先走って購入した注射器6本。

特派員

  • 山田 進
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

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