• 2021.02.05
  • ♪雪やこんこ♪
 どうやらスペインのお天気は日本と同期しているようで日本の大雪情報が届き始めるとここマドリードでも ♪雪や来ん来♪とのんびりと歌ってはいられない状況になりました。キリスト生誕を祝福し礼拝する為に東方からやってきた3博士の祝日である公現祭を最後のイベントとしてクリスマス関連行事がすべて終了したのが1月6日でした。そして息つく間も無く、今度は西方から近づいてきたのは暴風雪なのです。その名もFilomenaフィロメナは8日9日と雪を降らせ続け、豪雪に慣れていないマドリードの交通状況は地下鉄以外は完全にマヒ状態に陥りました。 


プラド美術館正面玄関前の雪まみれのベラスケス像


ふだんはこんなお姿です。

ようやくフィロメラ退散となり晴天が続いていますが、気温は一向に上がらず、かれこれ5日経っても歩道に残った雪や車道のアイスバーンも溶けず物流も滞っています。七つの丘の街とも言われるマドリードには石畳の坂道が多く、転倒事故も多発中で高齢者の外出自粛令が出されるほどです。そしてマドリード市役所は外出の参考にと除雪・除氷が終わり通行可能になった道路マップをリアル・タイムで参照できるインタラクティブ・ページをアップしました。このマップを拝見していると氷点下10度にもなる極寒のマドリードの道路が着々と除雪されていく様子が見てとれ、コロナ禍で十分承知していたにもかかわらず、エッセンシャル・ワーカーと呼ばれる方々が、時には命がけで私達の社会生活を支えて下さる様が実感でき、改めて頭が下がる思いがします。


除雪済道路マップLimpieza Nevada 2021 Experience (arcgis.com)

 ところでスペイン語では低気圧、暴風雨や嵐のことをborrasca ボラスカと表現します。そのなかでも特に人々の生活に大きな影響をあたえる規模の低気圧にはすぐに特定できるように人の名前がつけられます。この名前は南西ヨーロッパ4か国の気象関係機関グループが共同で10月から翌年の9月までの一年間使われる21個の男性名と女性名を選定し交互に命名していきます。日本でも台風に番号をつけて呼びますしアメリカ合衆国ではハリケーンに名前をつけていますね。


ヨーロッパ南西気象グループ


ポルトガル海洋と大気(気象)研究所(Instituto Português do Mar e da Atmosfera)IPMA


フランス気象局(Météo-France)


ベルギー王立気象研究所(Royal Meteorological Institute of Belgium)RMI


スペイン気象庁(Agencia Estatal de Meteorología)AEMAT


 このシーズンで最初に使用されたのは2020年10月1日に命名されたフランスを襲ったALEX(アレックス・ 男性名)で、次が10月18日に命名されたスペインでの嵐BARBARA(バーバラ・女性名)、三番目は11月28日に命名されたポルトガルのCLEMENT(クレメント・男性名)、そして12月3日命名されたスペインのDORA(ドラ・女性名)、続いて同月7日にはスペインでのERNEST(エルネスト・男性名)そして今回マドリードに1972年以来の大雪をもたらした低気圧はFILOMENA(フィロメナ・女性名)で1月5日に命名されました。


2020年10月から2021年9月までの大きな勢力のborrasca(低気圧)につけられる名前のリスト

この大変な状況のなかでも50年ぶりの大雪が珍しいマドリードの人々、目抜き通りで雪合戦をしたり、雪で覆われたプラド美術館の階段をスキーで滑降したり、映えるネタを求めて街中を徘徊したり(含む私自身)しておりました。


スペインでもジブリは人気です。


この写真を撮ったあと高齢者外出自粛のお達しが発出されて謹慎生活に入りました。ただでさえ逼迫している医療機関を能天気な高齢者の不要不急の雪見散歩での転倒騒ぎごときでお手を煩わす訳にはいきません。


追  この歳になるまで昔日に歌った童謡の歌詞は♪雪やこんこん…♪”だとおもっていましたが、実は♪雪やこんこ…♪と知りました。ついでにもう一つ♪どんぐりころころどんぶりこ・・・♪、も♪どんぐりころころどんぐりこ・・・♪と間違えて覚えていました。お恥ずかしい限りです。

特派員

  • 山田 進
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

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