• 2021.07.16
  • Fiesta de fin de curso
6月26日より戸外でのマスク着用義務が解除され、ワクチン接種も順調に進みグリーンパスポートの発行も間近で、二年ぶりの夏のバカンス旅行計画も現実味を帯びてきた矢先に若者を中心とした特大集団感染が発生してしまいました。その震源地は昨年2月7日スペインでの新型コロナウイルス感染者第二号が発見された地中海に浮かぶ高級リゾート地としても知られているマジョルカ島です。

その火付け役となったのがFiesta de fin de curso 学年度末フェスとでも訳せるお祭り騒ぎ、幼児教育から初等、中等、高等、大学、各種専門学校まで年度末となる6月は一年間の勉強や試験の苦労を忘れ、3か月余りに及ぶ長い夏休み前にクラスや学年仲間と楽しく過ごして別れを惜しむパーティです。

年間学校行事の中でも最重要イベントの一つで、高学年ともなれば一日だけではもの足らず、バカンス繁忙期直前の低い価格帯を狙ってリゾート地まで泊りがけで遠征するViaje de fin de curso 学年度末旅行となり、親元を離れタガが外れたパリピ学生大集合となる次第です。 日本の修学旅行は研修・視察を目的として最終学年の児童・生徒・学生が対象で教職員の引率の下、課外授業の一環として行われるので宿泊旅館でのどんちゃん騒ぎや飲酒を伴うコンサート参加などは考えられませんね。

今回は6月12日から18日までの旅程でマジョルカ島にスペイン各地から集まってきた学生さん達、まず連絡フェリーでの船内宴会から始まって、宿泊施設での大はしゃぎ、路上飲み会やらビーチパーティー、闘牛場で開催されたレゲトン(Reguetón・Reggaeton)コンサートでの飲酒込み濃密接触のりのりダンス等々、感染要因満載の一週間の滞在の結果ヨーロッパでも類をみないmacrobrote特大集団感染となってしまいました。

一年続いた外出自粛やらリモート授業で溜まりに溜まったフラストレーションを発散したい学生さん達の気持ちも理解できますし、コロナ禍で大打撃を受け青息吐息の旅行、飲食、宿泊、運輸業界としても復活の足掛かりを願っての企画だったのでしょうが裏目に出てしまって残念至極です。


図1

図1は6月25日現在のマジョルカ島由来年度末旅行関係感染者数です。マドリード州の陽性確認者363人は17歳から19歳までの若者で州内30の学校から参加し、マジョルカ島では8つのホテルに分宿していたそうです。マドリードで判明している濃厚接触者3000人は隔離中とのこと。当然のことながら濃厚接種者である家族への家庭内感染も視野にいれるとまだまだ感染拡大が心配されている現状です。

スペインのワクチン接種状況は優先グループが完了して現在は40歳以上の人々の接種が進行中なので今回の旅行参加学生さん達は例外を除いてまだ接種はしていないはずです。

このような修学・学年末旅行を専門に取り扱う旅行代理店もあります。例えば
https://miviajedeestudios.com
https://www.tufindecurso.es

コロナ禍前はこんなに楽しい旅行ができたのに。動画2つです。
まるで米国由来某清涼飲料水のテレビCMもどきのはしゃぎ様です。
https://youtu.be/bhXW9SbmFls
Mi Viaje de Estudios® - Temporada 2017 - YouTube

 一年前の6月9日の記事『スペイン風邪』にも書きましたが、103年前、スペイン風邪大流行の最中に隣村の村祭りに飛び入り参加するという軽率な行動が人口1200人の村で800人が感染するという事態を引き起こしたため、県知事が号外警報を発出するにまで至ってしまいしました。


図2.1918年10月4日ブルゴス県公報号外

警告内容抜粋
『・・・que se abstengan terminantemente de celebrar dichas fiestas ó reuniones・・・その様なお祭りまたは集会等は絶対にしないこと..』
『・・・ la infección se propaga por las gotitas de saliva que despide el que habla, tose・・・ 話したり咳をしたりする際に吐き出された唾液の飛沫から感染する、・・・ Que se abstengan, en consecuencia, de permanecer en locales cerrados, mal ventilados, donde se reúne mucha gente , como tabernas, cafés etc  ・・・ 従って、閉鎖した空間、換気の悪い場所、多くの人が集まる所、例えば居酒屋やカフェなどに居ることは控えるべきである。』 

歴史は繰り返すというか、自戒も込めて“喉元すぎても熱さ忘れず”でなければ、とは言いながらこのナレッジ・ワールド・ネットワークで6月21日公開『アンダルシアの揚げ物』と7月6日公開予定の『サラマンカ サン・エステバン修道院』と続いてのご報告の通り二回にわたる県境を越える旅行をしてしまいました。ワクチン二回接種済で気が緩んだ中期高齢者、若者だけを責められませんね。

特派員

  • 山田 進
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

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