私がミラノに移住した当初、イタリア人がパーキング後に車からラジカセをはずしていく光景を見て車のラジカセというものが世の中では盗難の対象であることを初めて知りました。同時に、万歳、平和大国ニッポン!と思いました。そうなのです。イタリアは窃盗に溢れているのです。混雑したバスや電車の中でのスリから、路上駐車の車の盗難、挙げ句の果てには女性の心まで盗んでしまう粋な盗人まで、盗みのバリエーションに溢れる国。
霧が濃い日には、空き巣専門の盗人達には好条件です。3ヶ月間ミラノを留守にするミラネーゼ達の夏休み中も、空き巣達の稼ぎ時です。今年の夏には、知り合いが住むマンション中の14軒の家が一気に空き巣に入られてしまいました。
めでたい結婚式も実は盗難において重要なイベントだということを知りました。ジプシー達の結婚式では、親戚が集まってから「皆で一働きしてくるか!」とお祭りの延長上、全員で盗みに出かけるとか。もしかしたら引き出物を調達する彼らのやり方なのかもしれません、、、
ところでジプシーが空き巣に入ると、高価な物であっても銀の物は盗まないとか。厄難の元だと言われているからだそうです。
一方、用意周到な盗人は一般市民の結婚事情を事前に調べておくそうです。なぜだかわかりますか?結婚式を挙げたカップルの家には、新品で高価な引き出物が沢山おいてあるからです。泥棒達のマーケティングも徹底調査に基づいて深く追求してあるものなのですね!
30、40年前くらいにイタリアに在住した日本人の方が、留守にする時には現金をいくらかテーブルの上に置いて行くのだという話を聞いた記憶があります。空き巣が入ったら、室内を乱雑にされないようにするために「こちらの現金で宜しく」ということらしいです。現代の犯罪事情と比べるとなんだか微笑ましい話で、盗人と被害者の関係において微妙なバランスが保たれていた時代だと思いませんか?