• 2019.01.30
  • お水
人間と水の密接な関係。飲み水をはじめ、私たちの生活に水は深く関わっています。日本に住んでいた時には知らないでいた外国の水との違い。日本の水は、軟水と言われていて私たちの生活に存在を誇示することなく寄り添うようにしっくりと溶け込んでいるように思います。「水の性質のせいでこれがこんなになっちゃったー」なんていう悲鳴は聞いたことがありません。

一方、海外に在住の皆さんならば日本の水の優しさを痛感していることでしょう。硬水国の欧米では、水の飲み方から洗濯まで一工夫を強いられます。カルキをたっぷり含んでしまっているイタリアの水道水は、「飲み続けていると、あのおばあさんみたいな象足になるんだってサ」と前を歩いている足首の無くなった太い足を指されて脅かされたものでした。本当かなぁ、、、



水の性質が違うと、それに関わる製品の質も変わってきます。例えば、液体のボディーソープ。石鹸が泡立たない硬水は、水の石灰分が肌に残留して付着するので肌がゴワゴワしてきます。なので、お風呂上がりにマイルドな肌触りに仕上げるために液状ボディーソープにはオイル質成分を含んでいる製品が多く、それを軟水の日本で使うと洗い流してもいつまでたってもさっぱりせずにヌルヌル感が残るらしいのです。なので、液状のボディーソープを日本にお土産として持って帰るときは、このことを念頭において気をつけましょう。



私の髪の毛も、欧米の硬水のせいでゴワゴワに変わってしまいます。確かに日本人である私の髪の毛は、西洋人のフワフワ、クルクルの巻き毛に比べると太くて丈夫でしっかりしていることを認めますが、カットしてもらおうとミラノのヘアーサロンに行くと、私の髪の硬さのせいでハサミが壊れると冗談を言われます。確かに、凄まじい音をたててカットされます。日本の水でシャンプーすると柔らかくなるんだよぅ、と私は虚しい申し立てをするのですが。

さて、この硬水の国での日常生活を一番ややこしくするのは、洗濯ではないでしょうか。飲み水に関しては、イタリア料理にはガス入りの水がピッタリ合うのでボトル入り炭酸水が好んで飲まれていて、傍ら水道水に関しては浄水器の活用がよく効きますし、いずれにせよミラノではボトル入りのミネラルウォーターが主流なので、カルキ入りの水道水を飲みすぎてあのおばあさんのような象足になる恐れは無いでしょう。

ところが、洗濯に関してはトラブル続きです。ほぼ免れない最悪の例は、白い洋服がグレーに変色すること。フワフワなものはゴワゴワに、デリケート素材は型崩れ、色物は色落ちし、清潔好きで洗濯好きの日本人には、欧米での洗濯は悲劇です。私も相変わらず失敗を繰り返しています。

イタリアで洗濯するときは、色々考えさせられます。特に洗剤の多さ。黒い洋服用の洗剤、白い物用の洗剤、カラー用の洗剤、ばい菌防止強力洗剤、柔軟剤、洗濯芳香剤、色落ちの色を吸ってくれるシート、漂白剤などなどいろいろな洗濯洗剤やお助け製品がスーパーで売られていますが、これらの洗剤のボトルの大きさと言ったら、まるで大家族用のジャンボサイズのものばかり。



洗濯機のプログラムも豊富で、その中で一番の要注意は温度設定です。どうやらあの硬水でしかも高温プログラムで洗濯をすると、確実に白いものはグレーになり、それっきり二度と白くはならないようです。

日本の水が恋しい、、、?!

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地に、ソロコンサートアンサンブルの編成で演奏活動の傍ら、演劇、画像、舞踊やライブ演奏を組み合わせたマルチスタイルの舞台プロデュース。

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