スイスとの国境と密接しているコモの町。コモを通り過ぎてイタリアの高速道路の最終地点にある国境。そこの税関も通り過ぎてスイスに入ると、他国に来た感触が即座に得られる事はよくよく考えてみると興味深いものです。1キロにも満たない移動にも関わらず、国境越えとは実に面白い体験で、街中にかかっている看板の色合いが違い、ガソリンスタンドの値段表示も違い、通貨も違うとたったそれだけで何だかとても遠い外国に来た感じがするもので不思議です。
私たちは流通の時代に生きていて、流通が発達したお陰で地方の特産物がたやすく手に入るどころか他国の商品も、それこそ海外の生鮮食品でさえ完璧な状態で自宅に届けられたりするわけです。
ところがEU統合前まではEU諸国外であるスイス製の商品もイタリアで売られていたものです。使い勝手が良くて好んで購入していた物がある時から売り切れのまま見かけなくなったと思ったら、後にスイスを訪れた際に見つけスイス製品であることがわかって一人で納得しました。
さて、私が時々コモに行く度に国境をわざわざ越えてたった5分だけの滞在であろうともスイス側に行くようにしている楽しみがあるのです。それは、コンソメキューブを買う事。スイス人が発明した極上で贅沢なスイス製コンソメだって?そんなの聞いたことが無いぞ!そんな特別なコンソメがスイスにあるの?と思うでしょう。ところが、どっこい。実は、クノールのコンソメキューブで〜す。
え?日本でも見かけるあのクノール??
そうなのです。イタリアで売られているクノールのコンソメキューブとスイスのそれはパッケージがほぼ同じでも実は味が違うのです。イタリア特にミラノでは、リゾットミラネーゼというお料理が存在する事から伺えるように、リゾットにコンソメは欠かせない要素です。ニンジン、セロリ、玉ねぎなどを煮込んでブイヨンを作り出しコンソメに仕上げるのが一番理想的な料理法ではありますが、お料理に多大な時間を避けられない都会っこ達にとってコンソメキューブは時間の節約の助けをしてくれる上に、お料理に旨みをもたらしてくれる重宝物。
コンソメキューブだけでなく、リンツチョコレートもイタリア製とスイス製では質が違うと言われていて私のように5分だけの越境をしてスイス製を買うイタリア人がいるようですよ。
こうなったら、クノールのコンソメキューブ海外版の味比べ大会をしてみたい!