日本には外国の街角を再現する志向がとても強いようです。それはきっと日本が四方を海に囲まれていて、航海がままならなかった遥か昔のご先祖たちが、海の向こうには一体何があるのだろうと単純な疑問からふと思い立ち大掛かりな航海の準備もせずに舟で繰り出し結局何も発見できず諦めて戻って来たに違いないことを想像できるくらい、各大陸から離れていることが影響しているのでしょう。
経済的に発展して物が豊富になった時代がやって来て生活に物が溢れ出した後は、体験の時代が来てアミューズメントパーク、テーマパークが次から次へと誕生した感じでしょうか。
他国と国境を接するイタリアでは、陸続きでヨーロッパ各国への往来が出来るからでしょうか、そのせいか他国との対抗意識も強く外国の町並みを再現したようなテーマパークは見当たりません。イタリアでは各州や町の特色が強く残っているので、それぞれの町自体がまるでテーマパークかのような雰囲気を醸し出しています。わかりやすい例ではヴェネツィア、アルベロベッロ。
他国との距離が近いことを意外な所で感じたのは、外国への旅行のプレゼントがよく行われる事から。例えば大学入学または卒業祝いに旅行をプレゼントなんて、年頃にも適していて、これからの門出を祝う激励にもピッタリの贈り物だとは思いますが、近隣ゆえに値段も張らず週末だけで楽しめる旅行もあることから、あげる方もらう方両者にお手頃且つ計画しやすいプレゼントとなるわけです。
さて、ミラノでは日本がテーマのイベントは欠かさないのですが、今回は「昭和時代の東京」がテーマのイベントが行われています。ポーランド人のイラストレーターが、水彩画法で昭和時代の店先を細かに描いた物を現物代の大きさに引き伸ばし、それをアスファルト風に仕上げた道路上に建てて、東京の商店街を散歩するかのような体験が出来る仕組みになっています。屋内の巨大スペースに東京の街角を再現していて、イタリア人含む外国人が好むような日本らしさがよく表された時代を堪能する事が出来て、面白い体験だと言っています。
コロナウィルスの影響で日本へ観光できないでいるイタリア人が、日本というテーマパークで日本に行ったかのような、しかも日本の昭和時代を楽しんでいるのでした。