イタリアの父の日は、3月19日。それは、キリスト教が関係していてイエス キリストの養父、聖ジュゼッペを祝うことから、聖人でない普通のお父さんたちのこともお祝いする日となったのでした。正直なところ、父の日を祝ったことも無く思い出した事もなかった私が、イタリアで父の日を覚えるようになった経緯には何を隠そう、食べ物が絡んでいるからです。えへへ
ゼッポレ ディ サン ジュゼッペ(聖ジュゼッペのゼッポレ)は、シュークリームのシューを揚げたようになっていてカスタードクリームが詰まったお菓子。このゼッポレはゼッパという単語から来ているとかで、ゼッパは違う高さの物を調整したりする時に使う木材の事をさすのですが、聖ジュゼッペは大工だったそうですから、2つの言葉の語音をもじってゼッポレに仕上がったのかもしれません。が、謂れでは大工の聖ジュゼッペは内職をしていて、揚げ物屋もやっていたことからこの揚げシュークリームを聖ジュゼッペを祝う日に食べるようになったと言われていたり、聖ジュゼッペがマリアとキリストを連れてエジプトに逃げて養うために揚げ物屋をしたとか。
さて、この揚げシュークリームのお陰で私が父の日を意識する事態から、どれくらい美味しいものか想像つきますでしょう?頬張りたくて父の日を待ち遠しく待っている、と言っても過言ではありませんが、実際には3月19日だけに食べられる限定スィーツという訳では無くて、一応年間通して見かけます。最近よく見かけるのは、ヘルシーバージョンで揚げずに焼いたゼッポレ。これも、聖ジュゼッペを毎日祝いたくなるくらい美味しいのです。
一方揚げた方のは、カロリーが気になるところ。それ故にためらいがちにちょっと一口ぶんだけ切ろうとしても、上手に切る事が出来ない仕上がりになっていて、というのは、油を含んだシューの部分は切りにくく、それでも強気に切ろうとすると中のカスタードクリームが出てきてしまうという惨事となるからです。それを理由に、丸ごとペロリと独占的に頂けるわけでもありますが。
3月19日というと、丁度春の始まりの時期でもあってイタリア各地では春の到来を
祝う伝統行事が多く、その内の1つに、ある小さな村イートリでは、大工さんや建具屋さんたちが作業場を整理して不要になった木材などを燃やし聖ジュゼッペを讃える行事が行われます。
最近はプラスチック素材のものが多い世の、燃やす木材も減ってきているのではないでしょうか。プラスチック素材の処理と向き合わされて、バツが悪いことになってしまったようです。
大工さんだった聖ジュゼッペを祝ってあげて、揚げシュークリームを堪能したら、プラスチック処分に何か良いヒントをもらえるかもしれませんよ。万歳、父の日!