実際にはどの国にもどの町にも、長所と短所が、、、
ミラノの欠点?
ゼロと言いたい所ではありますが、住み始めた当初は、空気の汚さがとても気になりました。ミラノは世界で一番汚い町だってお婆ちゃんが言っていたワーなんて友人に言われて、ミラノに住み始めたばかりだったので新しい移住地で輝かしい未来を開くつもりが、スタート地点で躓いたような気持ちになったもの。
その後、排気量を規制したエコロジカルなバスの開発に力を注ぐなど、空気汚染への対策を強化しているお陰で、だいぶ良くなったように感じられます。それ故にミラノの欠点としては、治安面が目立ってきているように思えます。中近東や発展途上国に仕事で派遣されたミラネーゼたちがミラノに時々帰省すると、ミラノの方が治安が悪く感じられるというコメントさえ出るようになりました。となると、私はかなり物騒な町に住んでいるらしい。
高級住宅街と貧民地区が隣り合わせだったり、超高級ホテルと浮浪者サポート施設が隣り合わせだったりと両極的な物が一緒になっているのが、ミラノの面白い面でもあるのですが、これからミラノの治安がどのように改善されるのか、良くなるのか、それともさらに悪化するのか。ミラノ郊外にブロンクスとさえ呼ばれるようになった地区があるのですが、そのうちに、ミラノの町自体がブロンクスとか呼ばれるようになったりしないかしら?
別の郊外に住んでいる知人が大層素敵な家を建てました。彼女は両親から譲り受けた数々の高価な絵画を壁に飾り、その上彼女はミュージシャンでもあるので、音響の良さが堪能できる高い天井の住まいで、美術館とコンサート会場が一緒になったような大きな空間の家に仕上げていて、その空間のスケールの大きさと家の美しさに息を飲んでしまうほどです。が、その家に訪れる度に窓際の施錠や格子が増えて行くことに気がつきました。彼女の一軒家は、数件の並んでいる戸建て住宅の最後に位置していて、そのせいなのでしょうか、ちょっと孤立した印象が無きにしもあらず。
最後に彼女の家を訪れた時は、玄関ドアに彼女の手書きのこんな張り紙が、、、
「アタシの家に飾ってある絵画や美術品は、全て文化庁に登録済みだから、盗んで売買したらすぐに捕まるワヨ!だから盗んでも無駄!置いてあるテレビはメチャ古い型だし、値打ちのある物は何も家に置いてないんだから、盗みに入るな!!」
私は、思わず吹き出して言いました。「ねぇ、ねぇ、盗みに入ろうと思ってる泥棒たちが、こんな張り紙を注意深く読んで、躊躇して、仲間同士で盗みに入るかどうしようかなんて相談したり、熟考したり、作戦を練り直したりなんてするのかしら、、、」