各州や各地域の違いを始め、州民、県民、さらには移住者と言ったように、違うという事を寛容に受け止めると言ったらいいのか、否定的に捉えないのがイタリア人。
イタリアのそれぞれの各州は持ち味が違っていて、その違いは気候から、土地柄から、または歴史的人物の存在が及ぼした影響から、などなど色々な要因が絡んでいます。
日本の新幹線のように超快適でしかも超速攻な乗り物で移動という訳には行きませんが、それでもFerrariとあだ名がついているFreccia Rossaと呼ばれる高速列車で、時速300キロ、時には400キロ近いスピードを出して、イタリア国内を移動できるようになりました。
列車の発達にも関わらず、その地域や市町村に行かないと体験出来ない食料品や伝統品がいまだに多いのは、地元での体験を大事にしているからかもしれません。イタリアでは数100キロ離れた場所に移動するだけで、違う文化の町にたどり着いたような感触をいまだに得られるのです。
ところでこの高速列車の発達のおかげで、ビジネスで忙しいミラネーゼも、2時間で行けるフィレンツェ、2時間ちょっとで行けるヴェネツィアや、3時間程度で行けるローマ、その他諸々各地に、週末などを利用して小旅行するようになりました。
そういう意味での近距離で行ける場所のうちの一つに、ボローニャがあります。日本でもミートソースというと、ボローニャ風ミートソーススパゲッティを指したりして、ボローニャは聞き慣れた言葉ですが、細かい事を言うと日本のボローニャ風ミートソーススパゲッティは、本場のそれとは違っていて、まずは使われるパスタから違っていて、タリアテッレと呼ばれるきしめんに似た平たいパスタが本格的料理。
ボローニャは最古の大学があったり、柱廊の多い独特の街並みだったり、イタリアの中でも美食意識が高く伝統料理が豊富な町で、魅力がぎっしり。だからなのでしょうか、ボローニャ出身の人は博識が多く、癖の強い人が多いように思えます。大学都市として世界中からの学生が集まる町でもあるので若者が多く、古い建築物の中に若者のエネルギーが詰まっていて今にも爆発しそうに思えます。
町の中心にあるサン ペトローニオ大聖堂は、世界で1番大きな聖堂になるはずだったのに、工事を手掛けていた建築家が亡くなると、建設反対派が勢力を強めて建築材料を売り捌いてしまい、計画は中止。
ところで、この大聖堂の壁画が珍しいのです。珍しいだけで無く、挑発的な内容と言う事でテロの標的にもなり得るので、警備を厳しくしていると聞いています。その壁画とは、イスラム教のマホメッドが横たわっていて、その頭を悪魔が押さえつけている姿が描かれているもの。この壁画がイスラム教との反感を買っていて、過去にこの教会を爆破する告知までありました。
癖の強いボローニャならではの、 物議を醸し出す壁画。