見ていると朝から晩まで、何かと言うとコーヒーを勧めあったり、飲みに誘いあったりを繰り返していて、1日に何杯も飲んでいます。あんなに味覚も強く、カフェインも強い飲み物なのに、、、
ところでエスプレッソと頼まずに、リストレットとオーダーすると、これはエスプレッソよりも更に少量のコーヒーで、コーヒー豆が抽出する、それも本当に最初の部分だけの飲み物。それゆえに、カフェインと酸味がエスプレッソよりも少ないと聞いています。このリストレットを使って、そこにミルクを加えてまろやかなカフェラテやカプチーノが出来上がります。
コーヒーが最初にイタリアに入ってきたのはヴェネツィアで、しかも今でも現存する世界で最古のコーヒーハウス、素敵なカフェ フローリアンがあります。ヴェネツィアの中心地のサン マルコ広場に面していることも格別ですが、本当の名前は「意気揚々のヴェネツィア」。
コーヒーの味はイタリア人に気に入られて、すぐにも爆発的に広まりそうだったにも関わらず、実は、躓きました。刺激的な性質を持つこの飲み物に正体不明で魔性めいた現象を見出したので、教会関係者は不安どころか恐れをなして禁止令を出しました。そこで当時のローマ教皇は、真相を解明するため密かに実験的にコーヒーを飲み、悪魔的な性質は無いことを確信し、禁止令を撤廃した所からコーヒー文化は順調にイタリアに浸透していったそうです。
さてイタリアに来たことがある人なら、「バール」に入った事もあるでしょう。日本人の感覚からすると、バールは英語のバーの綴りなので、バーテンダーのバーとかワインバーのバーを思い浮かべますが、イタリアでのバールの語源は実はあまりはっきりとはしていないのです。イタリア人でさえも、どうしてバールと呼ぶのかというその由来も知らずに使っている単語の一つだとか。
通路や空間を仕切るために柵とか棒の意味を持つSbarraとかBarrieraに関連しているかもしれないとも言われていますが、いずれにせよCoffeeまたはカフェテリアと言った様な呼び名では発展しなかったのが、イタリア。調べていくと、イタリア人起業家マナレージが、Banco A Ristoroの3つの頭文字をとって、フィレンツェに最初のバールをオープン。
banco a ristoroを訳すと、軽食カウンターと言う意味。イタリアのバールは、確かにサンドイッチなどの軽食もサービスしていて、日中はコーヒー、夕方にはアペリティフでアルコール飲料を出してくれるバーカウンターでもあるので、英語のBARとイタリア語での抜き取った3文字BARが掛詞になっていることが、カフェテリアではなくてバールと言う呼び名がイタリアで浸透した理由の一つかもしれません。
気軽にコーヒーが飲めることや、時にはバールマン/バーテンダーが心の支えになってくれたり、友人との待ち合わせ場所、新聞を読んだりと、イタリア人にとって、バールはかけがえの無い存在なのです。