イタリアには仏教のお寺が幾つかあるのです。例えば、エミリア ロマーニャ州のパルマ県にあるのは普伝寺。
ミラノから1時間ほど車を走らせ南下し高速道路を出た途端に、大型アウトレットショップに対面します。そうすると、あったらいいなと普段から思っていた洋服やバッグが頭に浮かんできて、アウトレットショップに寄ろうか、と一瞬思うのですが、いかん、いかん、物欲め消えろ!今日はお寺参りが目的の日ではないか!と自分を嗜めて、素通り。
ところで物欲が湧き起こるその地点には、パルマ産の美味しい生ハムなどを販売し、美味しい食事も出来るお店もあって、物欲を消しても今度は食欲が出てきてしまう誘惑の絶えない場所。私は食いしん坊なのか、そこを素通りする事が出来ませんでした、、、
エミリア ロマーニャ州は、自慢の伝統料理が沢山あって食材も豊富。美味しい赤ワイン、それも赤ワインでは珍しいスパークリングワインが特産物。これを冷やして飲むと美味しい、加えておつまみにはパルマ産の生ハムを、なんて考えながら商品を物色しているとキリがありません。
本来の目的地に向かわねば。
なだらかな丘陵地帯に囲まれて田園地帯に入ると、普伝寺に到着。宗派は曹洞宗で、ここでは座禅を組み瞑想する修業が実践されています。
設立者はイタリア人で、日本で修業を積んだ後にここに修業道場を開設しました。静かな田園地帯にあるこの寺院には、禅堂、法堂、宿泊施設、庭園、柔道場の設備が整っています。
私が訪問した日は、イタリアの柔道界で功績を挙げた柔道の権威者とも呼ばれているチェーザレ バリオーリ氏を慰霊する催しが行われ、それにあたって、スイスの警察学校にて警察官に柔道を教えている日本人柔道家、片西祐司先生が招かれて、3日間にわたる柔道セミナーも行われていました。
印象的な出来事が多かった1日で、例えば、チェーザレ バリオーリ氏を慰霊する際にはイタリア人僧侶たちがお経を唱えたのですが、それがイタリア語にも関わらず違和感が全く無く、さらには日本で日本語のお経を聞くよりもわかり易かったのです。
柔道家の片西先生と個人的にお話をする機会にも恵まれ、彼の使命について、柔道と音楽の共通点、柔道の魅力などなどについて彼の話を聞いて、短い時間の会話だったにも関わらず柔道をしてみたくなった自分自身に驚きました。
そばにはチェーザレ バリオーリ氏のお墓があって、私たちのそんな会話を嬉しそうに聞いていたのではないか、と思ったのでした。