リグーリア州には、5つの土地と呼ばれる世界遺産になっている集落があります。名前の通り5つの土地で、それぞれが平均的な距離を保って山の斜面や断崖絶壁に位置しているのが特徴。
季節に合わせて色々な楽しみ方が出来て、夏は海水浴、春や秋と加えて冬も日によってはハイキングと観光が楽しめ、海沿い又は内陸側のハイキングと言う風にコースも色々ありなのも魅力。その中でも愛の小道なんてロマンチックな名前が付けられた海沿いのパノラミックな遊歩道が1番人気だったのですが、土砂崩れのせいで長年通行止めでした。が、ここで朗報です。この度7月26日にめでたく再開通することになりました。
5つの土地は、海に面しているので単純に漁村と思いきや、歴史を遡ればなんと農村。その印として、出発となった村が内陸部に存在していてそれが未だに健在なことと、葡萄棚やオリーブ畑を作って土地を開拓していき、村が海岸の方に移っていった歴史が間近に見える風景になっています。
中でも1番面白いと思った特徴は、どの5つの土地にも共通しているのが、その土地の最高に眺めの良い場所にお墓がある事と、不動産屋さんが見当たらない事。
お墓が一等地にあるのは、平地が少ない土地柄にもかかわらず、どんなに小さな面積でも斜面でも葡萄棚とオリーブ畑を作って、トップクラスに入る製品を生産してくれた先祖の努力に感謝する表れの一つなのかもしれません。
5つの土地は、それぞれに違う特色を持っているので張り合ったり対立しそうではありますが、団結している面の方が多いようです。例えば不動産物件を外来者が買いにくい仕組みを作り、生まれ育った人のみで成り立つ社会を築き、景観保持のための厳しい規則に従い、それが自然保護にも繋がって、それ故に5つの土地は今も尚昔ながらの特色を保ち続け、世界中の人を魅了させる素晴らしい所なのです。
最西端にあるMonterossoは、リゾート地として発展した新地区と旧市街地のそれぞれが持つ特色と役割が違っているのが面白いし、隣のVernazzaはカラフルな家が立ち並ぶ極小の港町、そのお隣のCornigliaは断崖上にある静かな小さな村。ですが、駅から見える心臓破りの階段を登らないと到達できない村。
そのお隣のManarolaは5つの土地と検索するとまず出てくる写真はここ、つまり写真写りが1番良い村。最東端にあるのはRiomaggiore。この村の非常に面白い点は旧市街と新市街の建物の違いがよく現れていること。旧市街の時代は、建物の面積に比例した税金が課せられたので、どの家も細く高く建てられていて、長細い数々の家が隣り合わせに建てられていますが、新市街地の時代にはそんな税金は無くなったので、幅の広い建物ばかり。
5つの土地は、今でこそカラフルな家が立ち並んでいて、観光客の目を楽しませてくれますが、遥か昔は石造りの石材色。東端から5つの土地の方を眺めると、全てが岬の影に隠れていた上に、山に同化したような自然色な住まいは。南西の海から登ってくる侵略者たちに目を付けられずに済んだ事も希少性の高い土地にしたのです。
先祖の努力の賜物と地元民の誇りを感じられる、魅力的な5つの土地なのです。