日本ではどんな物をお祝いに贈るのでしょうか?名刺入れ?アクセサリー?万年筆?
私の興味を引いたミラネーゼの成人の贈り物は、インターレイルパス。
ヨーロッパ在住者向けのヨーロッパ内の鉄道の乗り放題のサービスのことです。短期間から長期間までの色々なプランがあり、ヨーロッパ33か国の鉄道を自由に乗り降り出来るのが魅力です。プランや年齢によって料金が変わるのですが、いずれにせよ、とても割安な鉄道旅行が出来ることで知られています。
成人したミラネーゼ達は、3ヶ月の長い夏休みを利用して親友たちとインターレイルをフルに活用する旅行を立てて人生初の冒険に出発するのです。このパスで33か国も回れることから、行ってみたい国や街を挙げていくとキリがなくなって、気がついたら高額で長期間の大旅行プランが生まれていた、というのが大抵のパターン。それで、仲間たちと頭を寄せ合って、長い相談が始まります。
バイトの休暇、お小遣いの勘定、各町の宿泊費や食費、効率的な回り方など色々な面での検討を経て、例えば、ミラノから出発して、ブダペスト、プラハ、ベルリン、アムステルダム、パリ、バルセロナを約20日間で回ったりするとか。
携帯電話とインターネットの発達のお陰で、ヨーロッパ人のヨーロッパ圏内旅行は益々便利になっていて、観察していると本当に若者たちも旅行しやすそう。旅行会社がオファーする旅行パケットに依存する必要もなく、誰もがフリースタイルの旅行プランを立てやすい時代なのです。
それで、人生初の大冒険から戻ってきたミラノの若者たちは、どんなことを考えたのでしょうか。
「やっぱりミラノが最高!」
とは言わない、、、
どうやら他のヨーロッパに比べるとミラノは、物騒に感じるそうです。一番人気があるのは、ベルリン。若者が多いことや、興味深い社会的システムが発達していること、服装感覚が自由なことが好印象らしい。
あららら、ドイツ人の服装のセンスの無さを貶すのが一般的なイタリア人だけれど、もしかするとミラノの若者は、ファッションセンスで人定めをしないそんなドイツを密かに羨ましがっていたりして、、、
ところで、あなたは貧乏旅行をしたことがありますか?ヒッチハイクせざるを得なかったとか、野営キャンプしたとか、、、
完成度の高いプランを立て、節約しながら旅行していたミラノの若者たちも、希望の電車に乗れなかったり、予想外の出費があるらしく、気がついたらお金を使い果たしていた事もあり得るわけで、もうあと1日たりとも外泊の出費を許さない事態に陥ったりして、ドイツ発祥の長距離バスシステム、Flixbusを使ったり、フランス発端の車の相乗りシステム、Bla Bla Carを駆使して、最終的に何とか家にたどり着けるそうです。
どちらのシステムも、低価格がウリで、環境に優しい交通手段として推奨されていますが、欠点もあって、例えばFlixbusでは、国境付近になると警察がバスを停車させる回数が増えて、不法滞在者の確認を行うので時間のロスが多いそう。電車での移動より、2倍も3倍も時間がかかってしまうとか。Bla Bla Carのブラ ブラは日本で言うペチャクチャのような意味で、知らない人の車に乗車して、お喋りしながら旅行のコストを分かち合う面白いシステム。
どれも、アプリが発達した時代の産物で、よく出来ている!