• 2024.10.22
  • 禁止
世の中には、何と沢山の禁止事項があるのでしょう。幼少時に遡れば、こんな経験があったでしょう?学校や家庭で注意されたり、止められたり、窘められたり、咎められたり、時には罰まで与えられたり、、、

大人になるためには、なんとまぁ沢山の禁止事項をクリアーしていかなくてはならないのだろう、なんて思ったりしませんでしたか?禁止事項を守らなかった大人達がニュースで取り上げられたり、逮捕されたり、裁判で捌かれたり、時には、ご近所同士の間で噂になったり、歳を取れば取るほど禁止事項が増えていくかのように思え、その傍ら子供達は、スーパーマリオのゲームの世界で、色々な仕掛け、障害物のクリアーに専念しているといったような情景。

ところでイタリアは、規則に縛られない色々な面で自由な国に見えることでしょう。確かに、フレンドリーで融通がきいて細かいことに拘らない事柄に満ちています。が、どっこい。時々しまった!と思わされるのが、こんなこともしても良いのかぁと周りのイタリア人を観察して外国人の私がすると、即咎められるものなのです。

意外な所で厳しい、と最近思ったのが、夏のバケーションシーズンの海岸沿いでのこと。イタリアではビーチから出た道路沿いに、海に向かって開放的に張り出したレストラン、カフェテリア、ストリートフードの店が軒並みを連ねていて、大抵の場合、女性は水着姿でも腰回りにパレオを巻いたり、男性は上半身裸のままで入店したり時には飲食をもしたりする傾向がありますが、リグーリア州のCinque Terre(5つの土地)では、それは許されない。

しかも、よくよく聞いてみると、2019年からはビーチサンダルでの歩行も禁止になったというではありませんか。50から2500ユーロの罰金を課せられるとさえ聞きましたが、実際の所、ビーチサンダルでの歩行や入店を注意する人や店には出会わうことは無くて、ビーチサンダルを履いていない人を見つける方が難しい。イタリアの他の海岸沿いの遊歩道とは違って、この5つの土地は、砂浜よりも岩石の場所が多く海沿いを散歩しているうちに、険しい山沿いや岩壁の道に導かれて行ってしまう場所柄なので、事故防止のための禁止令。

カンツォーネ「帰れソレントへ」で有名なソレントでは、セックス ショップが禁止。トスカーナ州のLucca(ルッカ)では、他国の料理は禁止でイタリア料理のレストランのみ。マテーラ州のTursi(トゥルシ)では、中心地での犬の散歩が禁止。犬の糞を片付けない市民に腹を立てた市長さんが、溜まりに溜まりかねて禁止しましたが、後に解除されました。きっと、市民が心を入れ替えて、改善に取り組んだのでしょう。

その他、一見奇妙な禁止事項が各地にちらほら。でも、バジリカ州の超絶景の吊り橋で有名な散策道では、一見道路標識、でもよくよく読むとロマンチック ポイントと記してあるキスを推奨するスポットがあったりするのです。

これからは禁止標識ではなくて、推奨標識が増えるのかしら?

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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