• 2015.09.25
  • 2014年オープンの新しいフィレンツェ歌劇場。10ユーロで観られる本格オペラ。
昨年5月10日、フィレンツェでは、新しいオペラ劇場が正式にオープンしました。世界的に有名な旧フィレンツェ歌劇場は、1862年からの歴史を持ち、数々の名指揮者、演出家、歌手を世に送り出してきましたが、その歴史に幕を閉じ、代わって、新歌劇場“オペラ・ディ・フィレンツェ(Opera di Firenze)”へと繋がれたものです。

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新フィレンツェ歌劇場の外観(muellerbbm.のサイトより)


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オペラ「椿姫」(劇場公式サイトより)。背景は全面の鏡張り。床に敷かれた絵と現実の登場人物が鏡に写り込む舞台装置。


「劇場にオペラを観に行く。」という響きは、何か特別な魅力を持っています。イタリアオペラといえば、マリアカラスやパバロッティなどの大物オペラ歌手、「椿姫」や「蝶々婦人」など様々な歌劇を通じて有名なアリアなど、音楽通でなくとも耳にされたことがあると思います。

私もオペラ鑑賞というと「憧れるけれど少し近寄りがたい趣味」のように思っていましたが、新しく建築された新オペラ劇場を機に、2014年12月のオペラ公演を初めとして、ほぼ月に1度のペースで劇場に通ってオペラやバレエを観ています。

「月に1回一流のオペラを観るなんて、何て贅沢な趣味。お財布が持たない。」とお思いの方が大半かと思いますが、初めて行った公演を除いては、20ユーロもしくは10ユーロの席の切符を購入しています。映画館で新作映画を見て8ユーロ、ピザ1枚平均8ユーロというイタリアの物価からしても非常に驚きの低価格で、イタリア人ですら知らない方が多いくらいです。安さの秘密は、一部視界がさえぎられる最上階、いわゆる天井桟敷での鑑賞になるからです。フィレンツェの新歌劇場は、客席が吹き抜けに近く、緩い傾斜を作りながら広がる造りですので、一部を除くほとんどの10ユーロ、20ユーロ席で問題なく舞台が楽しめます。

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  • 舞台側から天井桟敷の座席まで馬蹄形の劇場(PhotoTargetti)

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  • 自宅パソコンから英語でオンライン購入可能なチケット


チケットはボックスオフィスでも買えますが、当日券も開演2時間前から劇場で販売されますので、気が向けば映画の代わりに劇場に立ち寄ることも可能です。劇場のサイトは英語とイタリア語のみですが、オンライン購入もできます。
http://www.operadifirenze.it/stagione/season-201516/

気になる服装ですが、2階ボックス席から最上階天井桟敷までは、きれい目のカジュアルで来る方が大半です。男性の場合、プレスされたシャツならネクタイ無しでも気になりません。注意点は次の4つだけです。

演奏中の途中入場は出来ない。携帯電話の電源を切る。演奏中の写真撮影禁止。他の観覧者の迷惑になる行為はしない。

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  • エントランスロビーの様子

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  • 明るいガラス張りの劇場玄関の様子


公演はもちろん本格的で、主任指揮者のズービン・メータを始めとする有名指揮者に率いられた、劇場専属管弦楽団の演奏が楽しめます。オペラ歌手陣もさすがの貫禄で、3時間近くにも及ぶ舞台を、息つくしまもなく歌と演技で魅せきります。指揮者、演出家、舞台装置、楽団、歌手が最高のレベルに揃えられた時の舞台の感動は、ライブ感があり、興奮そのものでまさに圧巻です。

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1985年より新旧のフィレンツェ歌劇場の主任指揮者を勤めるズービン・メータと専属オーケストラの演奏
(劇場公式サイトより)


フィレンツェにご旅行の方で、夜もイタリアらしさを満喫されたい方にお勧めです。思い切って10ユーロからの切符でコンサートやオペラを聴きに行ってみませんか。オペラやイタリア人が少しだけ身近になるかも知れません。

特派員

  • 木田 美秀
  • 職業西洋絵画修復家

京都精華大学日本画科卒業。2008年よりルネサンスの都フィレンツェにて起業、イタリア古典絵画修復を専門として活動し、現在に至ります。休日の癒しは、市場での美味しい食材探し、近隣の町めぐり、所属の聖歌隊で歌うことです。

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