ソンクラーン祭りはタイの新年を祝う正月行事です。水かけ祭りで知られるこのお祭りは、毎年4月13-15日にかけて行われます。タイだけではなくラオス、ガンボジア、ベトナムに住んでいる小民族、中国雲南省、スリランカ、インドでもみられます。インドのホーリーという町のホーリー祭りから影響を受けていると言われていますが、そのホーリー祭は毎年3月に開催されるヒンドゥー教の春祭りで、春の訪れを祝い、色粉を塗りあったり色水をかけ会ったりして祝われています。
実はタイのカレンダーは旧正月が4回変更されています。4月1日だったり、13-15日だったこともありました。タイではソンクラーンは大晦日という意味です。1940年に国際的に新年の始まり1月1日となりましたが、タイでは昔のスリヤトラという占星術カレンダーに準ずるとちょうど正月は4月13-15日となるので、タイのカレンダーに従ってこの日を正月するという習慣が始まりました。
ソンクラーンの期間中は、3~7日間くらいの連休になります。その頃は一番暑い時期なので、全国の学校は約2ヶ月くらい夏休みになります。毎年この時期には大きな町で働いている人達は実家へ帰って家族、親戚、友達などに会いに行きますし、どこかへ家族旅行する人もいます。ところで旧正月と言えば、いろいろな伝統的な活動があります。例えば、お寺へお参りに行ったり、仏像に水をかけたりします。他に亡くなった人のために功徳を積む儀式をしたり、年配の方などにお清めとして水をかけたりします。
私は小さい頃、夏休みになるといつもお祖母さんの実家へ遊びに行って1ヶ月間で過ごしました。お祖母さんの実家はタイ北部にあり、ソンクラーン祭りの日の朝はお祖母さんと家の近くにあるお寺へ歩いて行って仏像をお参りしてお坊さん達に食べ物・供え物・お花などを捧げて説教を聞きます。そして砂で頭ほどの大きさの三角の形を高く作ります。(昔から、境内の砂をつけて帰ったり、お寺の物を持って帰ることは禁止され、お寺に砂を返していかなければならないと信じられています。)
参拝の後は、家族・親戚などと家で集合して、お祖母さん、年長者、亡くなった人の写真に水をかけて祝福を授かろうとします。それからは子供達の楽しい時間の始まりです。10時頃から家の前に水鉄砲や大きなバケツを置いてバイクで通る人に水をかけたり、白粉を使って相手の顔に塗ったりします。時々は、にぎやかな場所へ繰り出し、トラックの荷台から水をかけることも。走行中の車から、というのは少し危ないと思うけれど、道路はいつも渋滞しているのでゆっくりしか走ることができず、場所によっては道端の大勢の人が全身ずぶ濡れになってしまいます。他にも、市内の有名な仏像を綺麗な花で飾つけた車に乗せて、タイ式の音楽を流して踊るパレードもあります。毎年3日間このように祝いますが、14日は家族の日として家族と一緒に料理を作ったりパーティーやカラオケをして過ごします。私の夏休みで一番楽しい時間だったと思います。
外国人に有名な場所であるバンコクのカーオサーン通り、チェンマイのターペー門などでは、人気の歌手やアナウンサーがコンサートをしてお祝いします。しかし、この2年間ほど世界では新型コロナのせいで色々な活動が休止されるのと同様にソンクラーン祭りも中止されました。今年はまだ活動に制限はありますが、政府が対策を緩和するのでほとんどの店は通常営業をして、ソンクラーン祭りは開催されます。感染対策を施した上で実家へ帰り、年配の方に会いに行き、水かけをするときには必ずマスクをしてアルコール消毒液で手をきれいにして下さいと言われます。
以前から続くこのような習慣を見られるというのが、外国人がこのお祭りを見に来る理由の一つです。もう少しコロナが落ち着いて簡単にタイに来られるように祈っています。