祠って神様の家?
小さな家はタイ語で「サーンプラプーム」と呼びます。サーンプラプームは日本にある祠(ほこら)のような神様を祀る小さなお社です。見た目は小さなお寺のような美しい作りで木製やセメントで出来ており、白色、金色、赤やピンク色に塗装され一本足の支柱で支えられてます。サーンプラプームは家、会社、デパート、ホテルなどほとんどの玄関前に建ててあります。古代インドの民衆宗教 ・バラモン教(ヒンドゥー教の前身と呼ばれる宗教)とバラモン教よりも古くからタイ人に信仰されてきたピー教(精霊信仰)の影響を受け、タイだけではなくラオスやカンボジアにもサーンプラプームがあるそうです。
サーンプラプームがなぜお寺のような作りなのか?
ヒンドゥー教の教えにあるシバ神が住むと言われている山の頂にある天国の様なお城をイメージして作られたと言われています。
タイでは家を建てた時、引っ越しをした時にサーンプラプームを敷地内の玄関先や日当たりの良い場所に建てます。この時にバラモン教の司祭に来てもらい家内安全や商売繁盛などの願いが成就するよう、神様や精霊にサーンプラプームに住んでもらえるようお祈りをしてもらいます。アパートやコンドミニアムなど個人的に敷地内にサーンプラプームを建てることの出来ない住居の場合は、既に敷地内にあるサーンプラプームに個人的にお祈りをします。サーンプラプームを敷地内に建てられないビルなどの建物は屋上にサーンプラプームを建てているところもあります。
祠が2つ以上ある家もあります。
サーンプラプームとは別に、サンチャオティーと呼ばれる祠をサーンプラプームの隣に建てている家もあります。サンチャオティーのほとんどは木製で4本の支柱に支えられ、階段がついた昔のタイ式の家を思わせる作りをしています。祠の中には土地の精霊である老父の像が祀られ、タイ人は土地の精霊をサーンタヤーイ(おじいさんとおばあさんという意味)と呼んでいます。サーンチャオティーは古く伝統的な考えで、土地は祖先が亡くなった場所と考えられてきました。昔は土地が1番大切なものと考えられていたので、亡くなっても精霊として土地に住み、土地や今住む家族に災いが訪れないよう守ってくれていると信じられています。
ビジネスビルや工場、ホテルなどの大きな施設では「サーンプラプロム」というヒンドゥー系の神様(ブラフマー神、ガネーシャ神など)を4本の支柱で支えられた大きめの立派な祠で祀られています。
タイ人の参拝者に大変人気のサーンプラプロムは、バンコクのグランドハイアット・エラワンホテル前にある「エラワンサーンプラプロム」です。毎日多くの人がその前を通るときに必ず手を合わせて健康、幸運、恋愛、商売繁盛などを祈ります。この周辺には 7つの有名な祠もあり、それぞれ意味のある神様が祀られています。
願いが成就した際は感謝の意を込めて果物やお菓子やお花などをお供えしてお礼をしなくてはなりません。(エラワンサーンプラプロムは踊りで感謝の意を表します。)
皆さんの願いも叶うと良いですね。
祀る祠によって、祠の中に置く人形やお供えするものが違います。祠の中に置くものは、例えば、サーンプラプームの場合、天女のような人形1つ、男女の人形1組、踊り子たちの人形、ゾウの人形1つ、馬の人形1つなどです。サーンチャオティには天女のような人形の代わりにおばあさんとおじいさんの人形1組を置きます。そして、サーンプラプロムにはブラフマーの銅像を置きます。
タイ人は新築の家に住む前や新たに引っ越しをする前に、家族の幸せを願ってサーンプラプームを建てる事も大事なことです。サーンプラプームを建てる場所はどこでもよいというわけではありません。諸説ありますが良い方角、良い日時、日当たりなどを選び、お供物を準備してバラモン教の司祭立ち合いのもと建てられ、安置式を行います。
信仰心の強いタイ人がほとんどですが、現代のタイ人の中には信仰心の薄い人もいます。
現実主義(リアリスト)の人も増えて来たのでしょうか?
あなたはサーンプラプーム(祠)信仰を信じますか?