• 2025.02.21
  • 2月23日―祖国防衛者の日
キルギスでは2月23日は「祖国防衛者の日」として、国民にとって重要な意味を持っています。元々はソビエト時代に祖国の防衛に携わる軍人を称える祝日として制定されましたが、今ではより広い意味を持つようになりました。多くのキルギス人にとって、この日は軍人だけでなく、従軍経験の有無を問わず、すべての男性に感謝の意を表する日となっています。

キルギス人男性にとって、この日には様々な意味が込められています。私は子どもの頃、父から軍隊での体験談をよく聞かされ、その話に心を打たれたものでした。しかし、他の家庭では2月23日は軍人だけを称える日ではなく、男性が日常生活で示す勇気や強さ、そして一家の守護者や大黒柱としての役割に感謝する日でした。非公式にではありますが、この祝日の目的は時と共に変化し、今では多くの人が単に「男性の日」と呼ぶようになっています。

学校や職場では男性の日を晴れやかにお祝いすることも多く、男子生徒や男性社員にはちょっとした贈り物やユーモアのこもったスピーチ、感謝のしるしが贈られます。女性にとって、2月23日は国を守る軍人たちだけでなく、兄弟や父親、夫、そして男性の同僚や友人などに感謝の思いを伝える日で、この祝日は数週間後の3月8日の国際女性デーと対を成しています。

私にとって、軍人への感謝と男性の日の2つの意味を持つ2月23日は特に思い入れの深い祝日です。キルギスの防衛に尽力した兵士や退役軍人を称える日であり、同時に家庭や地域社会で責任を担う男性たちの日々の静かな力強さを認識する日でもあります。

私の家庭では、2月23日はどちらかといえば男性の日としての意味合いが色濃く受け継がれています。父は自身の従軍経験を誇りにしながらも、この日を私たち息子に「守る者」としてのより広い概念を伝える機会にしていました。父にとって、「守る」とは単に身体的安全を確保することではなく、自分の信念を貫き、愛する人たちを支え、より良い社会を築くために貢献することを意味していました。この教えは今も私の心に深く刻まれており、現代社会における「男性としての在り方」を理解する助けとなっています。

2月23日の主旨が変化していることに対して批判的な目を向ける人もいる、という点も忘れてはなりません。退役軍人や軍関係者の中には、「従軍者を称える」という本来の意味を軽んじるべきではなく、この日は軍人への感謝に重点を置くべきだと主張する人もいます。もちろん私もこの考えは尊重していますが、この日がより広範囲、包括的に解釈されるようになったのは、軍務に就く人が減り、すべての男性が様々な形で社会に貢献している現代のキルギス社会の実態を映し出しているとも思うのです。

キルギスでは、「守る者」という概念は兵士だけを指すのではありません。それは家族の幸せを守り、苦しい時に地域社会を支え、明るい未来に向かって努力することを意味します。このような考え方は私の心に深く響き、従軍経験はなくとも息子として、兄として、そしてキルギス国民としてこの理想を体現できるように日々努力しています。

今年も2月23日が近づくにつれ、この日が持つ2つの側面に思いを巡らせています。当日は献身的に勇ましくキルギスに貢献してきた兵士と退役軍人に乾杯を捧げ、同時に、家族を養うために懸命に働く父親たち、困難な時に手を差し伸べてくれる友人たち、そして決意と希望を持って自らの役割を果たす若き男性たちといったすべての男性に敬意を表そうと思います。

多くのキルギス国民にとって、2月23日は単に過去の出来事を回顧する日ではなく、現在を称え、未来へと繋げていく日です。この日を「祖国防衛者の日」と捉えるか「男性の日」か、はたまた両者の中間的な日と受け止めるかは人それぞれですが、この日は私たちの社会で「男性」を定義している彼らの力強さ、何度でも立ち上がる強靭さ、そして他者への思いやりを称える日なのです。伝統は時と共に変化していくかもしれませんが、勇気や忠誠心、家族と祖国への愛といった価値観がこの祝日の根底にあることに変わりはありません。

特派員

  • ダニアール・バクチエフ
  • 職業公務員

はじめまして。ダニアールと申します。公務員です。キルギス共和国に住んでいます。趣味は本を読むことです。また、旅行やいろいろな食べ物を味わうことも好きです。よろしくお願いします。

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