猫を飼いたいという友人と、ティアハイムに行ってきました。ティアハイムは直訳すると「動物ホーム」ですが、日本で言うところの動物愛護センターです。日本と違ってドイツでは普通、犬や猫をペットショップで買うことはできません。子供ができてしまったペットの飼い主から譲ってもらったり、直接繁殖業者から買ったりします。
血統書付きの特定の種類に固執しない人は、ティアハイムに行きます。ティアハイムは普通、動物愛護団体によって運営されています。つまり人々の寄付によって経営が賄われているのです。捨てられた動物や、面倒を見ることができない事情があって預けられたペットは、新しい飼い主と出会うまでこのティアハイムで過ごします。ベルリンのティアハイムはとても広いので、市街地に位置していません。1901年に立ち上げられた施設は元々街の中にありましたが、2001年に、ベルリンのはずれに位置する現代的な建物に引越しをしました。遠いので友達に車を借りて行きました。ベルリンのティアハイムは、16ヘクタールの広大な敷地に、猫の建物3棟と犬の建物6棟をはじめとして、小動物の建物や、エキゾチック・ペットの建物さえもあります。少し変わったところでは、サルのための広いケージがあります。動物園やサーカスに元々いた猿のほか、 実験用に飼われていたのを保護された猿は旧東ドイツ時代からこのティアハイムに暮らしています。こういった、ペット用でない動物はここで愛情を受けて暮らし、亡くなった後は敷地内の墓地に埋葬されます。
配置図:この配置図では何がどこにあるかだけではなくて、上から見ると建物がどういう感じかを想像できます。
ティアハイム の入り口
ディートリッヒ・バンゲルト(Dietrich Bangert)の現代的な建築の特徴は特に上から見ると分かります。このモダンな建築はアメリカ映画『イーオン・フラックス』など、映画の背景としても使われています。
このホームに一年間に滞在する動物は、約12000匹に及びます。多くの動物はすぐに新しい飼い主が見つかりますが、残念ながら中には長く待っていなければならない動物もまれにいます。前の飼い主の所で悪い経験をしたために、怖がったりして気難しくなってしまった動物には、 優しくて忍耐強く、動物の扱いに慣れている人が必要です。そのような人が現れるのを待ちながら、ティアハイムでは職員がそういう動物とのトレーニングもします。
動物はケージの中だけではなく、外に行くことができます。こちらは小動物向けの遊び場です。
犬の建物の中。ケージの横には動物に関する短い情報が書かれています。
動物がホームに預けられると、ティアハイムの獣医師によって健康診断が行われます。もし糖尿病などの持病があれば、ホームを出た後でも一生ティアハイムの獣医から薬を貰うことが出来ます。ここで猫を選ぶ時には、見た目よりも相性が一番大事です。ティアハイムでは動物の幸せが最も重要視されていますので、未来の飼い主にも条件があります。私の友達の生活スタイルと住環境に適合とされた猫は4匹でした。猫と知り合うようになるためには色々な説明があって、 猫のケージに入ることもできました。良く考えてから、彼女は一匹のオス猫を選んで、契約をしました。契約書には猫に関する情報のほか、飼い主、今後猫の家となる飼い主の住居に関する情報などが書かれています。
最終的に友達が選んだ猫です。最初はかなりシャイでしたが、今この猫は、ソファーの上で新しい飼い主の隣に何時間も寝ています。
ティアハイムは猫が元気に暮らしているかどうかを追跡調査するため、ランダムに飼い主の元を訪問する場合があります。動物愛護施設というと、悲しい場所だと思いますが、実際に行ってみると、もちろん捨てられてかわいそうではあるものの、職員とボランティアは動物にためにすごく頑張っています。もちろん義務ではありませんが、ここから動物を引き取って行った人は、この動物愛護団体のサポートメンバーになる人が多いです。もしぺットを欲しいと考えている方がいましたら、商品として取引されている店に「買い物」に行く代わりに、引き取り手を探している動物を迎え入れ温かい家庭を一緒に作り上げることはできないか、一度考えてみるべきだと思います。