• 2015.10.30
  • アムステルダムでサイクリング
好天の青空を楽しめた9月から打って変わって、10月になると気温は5~10度前後に下がり、寒さ厳しい季節の足音を感じます。家の中では暖房を使い始め、外出には手袋とマフラーをするようになりました。夏が終わり、空の色はほとんど白やグレーになり、これからは寒くなる一方です。

しかし、どんな季節でも天気でも、オランダで変わらないことの一つは、自転車に乗る人々の姿です。前回の記事で少し述べたように、オランダの生活では、自転車に乗ることは欠かせません。平坦な道に自転車専用道路と信号が整備されているため、車や歩行者の影響を受けずに、自分のペースであちらこちらに行けます。子供から老人まで、毎日自転車に乗っている人は極めて多いです。

私も、主な移動手段は自転車です。学校に、友人宅に、買い物や仕事場に、自転車で行けそうな場所であれば、どこへ行くのにも、いつも自転車です。重いものを運んだり、オランダでは二人乗りは違反ではないので、友達を送り迎えしたりします。時間を気にかけなくていい点も便利です。電車、バスや地下鉄の終電を気にすることなく、好きに遅くまで残ることができます。天気がいい日には、楽しいからと言って、友達と一緒になんと70キロも離れた町まで自転車で行ったことも何回かあります。私ではありませんが、家族旅行で、国内のみならずドイツ、ベルギーやフランスまで自転車で行く家族すらあります。

この様に書いていると楽しいだけに思えますが、オランダ人にとって、自転車で動くことはとても重大なことですし、自転車専用道路は遊ぶところではありません。アムステルダムに行ったことがある人は、その交通システムに慣れていないと危険もあるということをすぐに理解できたかと思います。中には守らない人もいますが、右側通行や角を曲がるときには手を出すことなど、自転車に乗る人にも交通規則があります。外が暗い時に自転車のライトを点灯させていないと、55ユーロ(約¥7,400)の罰金を払わないといけない可能性があります。ただ、数年前は、警察官が厳しくチェックしていたのですが、最近は、運よく、違うことに集中しているようです。

 
公共交通機関と違い、自転車は、乗る人の都合で出発時間を決めたり、通りたいルートを選べたりできます。ある区間だけ自転車で移動したければ、自転車と一緒に地下鉄や電車、バスに乗ることも可能なので、通勤に折りたたみ自転車を利用する人も多いです。

小さく出来て運びやすい折りたたみ自転車以外にも、さまざまな種類やスタイルの特殊な自転車があります。マウンテンバイクやトランク自転車(荷物や小さい子供を運べるように、自転車の前に大きなトランクをつけている自転車)、最近特に人気のあるロードバイクも増えています。独創的な職人やアーティストに作られた、本当に特別な構造の自転車を見かけることもあります。下のビデオに出てくる自転車は、ナレッジキャピタルで展示されていたロボット“ディルク”を作ったフレッド・アベルスによって作られました。種類等も豊富なため、オランダ人にとって、自転車を2~3台持つことは珍しくありません。

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アムステルダム中央駅のあたりは規則が厳しくなったものの、一般的に、自転車はどこでも無料で止めることができます。以前、日本で駅前に自転車を止めたところ、罰金の紙を貼られていたのにとてもびっくりしたことがあります。そのうえ、罰金を支払いに行ったらたった100円だったことにはさらに驚かされました。

町の中は自転車置き場でいっぱいですが、自転車を橋やポールに付けることや、ただスタンドを立てて置いておくことも普通にあります。ただし、アムステルダムだと、自転車のカギをちゃんと掛ける必要はあります。なぜかというと、自転車を盗んで転売を繰り返す人に盗まれることがあるからです。実際に買ったことはありませんが、「自転車買わない?20ユーロだよ。」と何回か声をかけられたことがあります。盗まれないように、派手な色を塗ったり、自転車を飾ったりする人もいます。そうすると、自転車が目立って、転売しにくくなるからです。

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多くのオランダ人にとって、自転車はただの乗り物ではなく、日常生活に欠かせないものであり、さまざまな思い出に係わるものだと思います。オランダを訪れるだけでもオススメですが、来られた際には、是非、自転車に乗ってみてください。気軽に乗れて、楽しくて、とてもオランダらしいアクティビティですよ。


特派員

  • マルタ・ ヒッキー
  • 職業教師、イラストレーター

アムステルダムで生まれ育ち、研究のため日本に2年半住んだことがあります。オランダ―日本間の文化的なつながりやコミュニケーションにとても興味があります。その他、自転車に乗ることや、教師やイラストレーターとしての仕事、友達と新しいカフェに行ったりすることを楽しんでいます。2014年にライデン大学を卒業し(アジア/日本研究修士)、現在は日本人向けのオランダ語学習教材を作っています。この学習教材では両国間の文化的な違いも紹介しています。

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