台湾の“媽祖”文化は二つに分けられます。一つは、西元1694年に建てられた雲林「北港媽祖朝天宮」、もう一つは西元1730年に建てられた台中「大甲媽祖鎮瀾宮」。「北港媽祖」巡礼は、神輿が町中を練り歩き、神輿下で爆竹がバチバチと打ち鳴らされるもの。台湾三大爆竹祭りの一つとされ、日本でもお馴染みの祭りです。旧暦三月十九日が南通り巡り、同三月二十日が北通り巡りと、巡路は毎年違います。「朝天宮」は、台湾で最も多くの分霊をもち、数えきれない人々が参拝に訪れます。一方、「大甲媽祖」巡礼は、九日間で百十一廟(ミャオ)を巡るもの。距離にして330km、巡礼者数は延べ百万人以上にも及びます。
初日の花火は台湾ドルで億単位、如何なる祝祭日をも上回る規模です。訪れる各地では、町の人々が巡礼者へ無料で食事を提供したり、その日限りのナイトマーケットを開いたり、さながら動く祭りのようです。ディスカバリー・コミュニケーションズが、「バチカンのクリスマスミサ」、「メッカのハッジ」と並び、「台湾の媽祖巡礼」を世界三大宗教イベントとしたのもうなずけます。今や“媽祖”は、海の女神だけではなく台湾の守護神とも言われています。旧暦三月は四月中旬頃、この時期、台湾へ来られたら、媽祖巡礼を是非ご覧ください。もちろん、Googleでも「媽祖繞境」と検索すると、たくさんの映像や写真をみることができますよ。