• 2026.03.26
  • ブログ・リグーリア-個別暖房かセントラルヒーティングか? イタリアの暖房事情
毎年冬になると、イタリアでは、伝統的なセントラルヒーティング(全館集中暖房)と近代的な個別暖房の良し悪しについて熱い議論が交わされます。
個別暖房とは、各住宅ユニットの所有者が暖房を管理するシステムです。各住戸に専用のボイラーとサーモスタットが設置されているため、個別に暖房を管理することができます。
イタリアでは、セントラルヒーティングを利用できる期間が法律によって定められていますが、個別暖房なら、年に一度の定期点検といった法的制約を除けば、所有者が必要な時に制限なく利用できます。ラジエーター内を循環する水は、各住戸内に設置されたボイラーによって温められ、サーモスタットによって温度や利用時間などを設定できます。
ボイラーについては、年に一度、専門家による点検を受けることが義務付けられています。
個別暖房にはいくつかのメリットがあります。
独立した暖房管理システムでは、エネルギー消費量を自分のニーズに合わせて調整できるため、例えば家に誰もいない時に暖房を止めるなど、無駄な使用を防ぐことができます。さらに、法で定められた利用期間以外でも暖房を使うことができます(全館暖房では、建物の管理者が自治体や国のガイドラインに則って暖房を開始し、寒い季節の終わりに停止します)。また、暖房が不要な時や、住戸にエアコンが備わっていて初秋の肌寒い時期にガス暖房を使わなくても部屋を暖められる場合には、無駄を省くことができます。
さらに、個別暖房システムなら、電気ヒーターやペレットストーブなど、別の暖房器具を導入することも可能です。
このように、個別暖房を上手に効率よく使用すれば、冬季のガス消費量や光熱費を抑えることができるのです。
一方で、デメリットとしては、ボイラーの管理やメンテナンスの手間が挙げられます。前述のとおり、法律によって定期的なボイラーの点検が義務付けられており、点検費用に加えて、故障時や交換時には追加の費用が発生します。とはいえ、ボイラーの寿命は一般的に約20年とされているため、こうした費用が発生する頻度はそれほど高くありません。
これに対し、セントラルヒーティングのボイラーは、建物内のすべての住戸で共用されています。地下などの共用スペースに設置されていることが多く、必要な時には誰でも確認できるようになっています。
数年前までは、ボイラーの操作やラジエーターの温度調節は技術者が管理し、建物内のすべての住戸が同じ温度になるように設定されていました。どの住戸でも法律で定められた室温を維持する必要があったため、エネルギーの無駄や室温に関する不便さを避けることができませんでした。


個別暖房用のボイラー


近年では、温度調節弁の各住戸への取り付けが義務化されたため、居住者は自宅のラジエーターの動作や温度を独立して調節できるようになりました。その結果、留守中に暖房を止めたり、自分の好みの温度に設定したりすることが可能になりました。
一部のアパートでは、温度調節弁に加えて暖房消費量の計測システムも導入され、実際に使用したエネルギー量に応じて料金が請求されるようになっていますが、まだ広く普及しているとは言えません。
そのため、環境に配慮して暖房の利用を控えたり、不在時に暖房を止めたりしても、他の住戸と同額の料金を支払わなければならないという状況が生じています。
セントラルヒーティングでは、暖房システムが建物全体で管理されている点に変わりはなく、臨時のメンテナンスや設備の近代化などの重要事項は、住民総会を通じて決定されます。
そのため、どのような理由があっても、冬の間に暖房をまったく使用しなかった場合でも、維持費や熱損失に関連する費用を支払う義務があるのです。
誰にとっても最適な答えがあるわけではありませんが、セントラルヒーティングは、暖房の使用量が多い人や、通常時・臨時を問わずボイラー管理の手間を自分で負いたくない人にとって、適した選択肢だと言えるでしょう。


典型的なヒーター

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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