- 2016.10.25
- サンパウロ市のグラフィッチ
サンパウロ市のどこの地区でも見かける「落書き」。家や店の壁、バス停、公園のベンチ、ごみ箱、マンホール、電信柱など、落書きだらけです。見上げるほど高いビルの屋上の壁、歩道橋などにも落書きがされており、時には一体どんな手段であんな高く危ないところに書けたのか。と思う事もあります。ブラジルでは、落書きの事をピシャール(pichar)と言い、記号、言葉や短い文で書いてあるものを言います。落書きをする若者たちは、真夜中に実行。より高い位置で、また人の目に留まる場所を選ぶそうです。社会や政治に対しての不満をぶつけているようです。 そして同じ不満や思い、意見などを絵にして表しているのが壁絵、グラフィッチ(grafite)です。1970年代にニューヨークで生まれたグラフィッチ、80年代にはサンパウロに広がり、今では至る場所に描かれています。スプレー式塗料が使われ、色鮮やかに描かれているものもあれば、わけのわからない、また暗い感じの絵もあります。アートなのか、視覚公害なのかと、人々の意見も分かれます。今、ブラジルはストリートアートが盛んな国一つと言われており、国際的にも知られているストリート・アーティストが増えてます。例えば、オス・ジェメオス(Os Gemeos)、エドワード・コブラ(Eduardo Kobra)、ジョゼ・アウグスト・カペラ(José Augusto Capeloa, 、ファビオ・デ・オリべイラ(Fabio de Oliveira)、ビニョ・リベイロ(Binho Ribeiro)、ダニエル・メリン(Daniel Melim)などです。 エドワード・コブラは、街のポストカードにもなるパウリスタ通りにある高さ56mのビルの壁に建築家オスカー・ニーマイヤーの肖像を描きました。カラフルで巨大な作品が注目を浴びてます。また7年ほど前から、バットマン路地(Beco do Batman)と言って壁絵が並ぶスポットが設けられ、この街に住む者だけではなく、各地からの観光客の目を引き付けてます。サイトで、カラーと街(Color + city)と言うコミュニティーがあり、壁を提供する者と絵を描きたい者が連絡できるようになってます。ビルの多いグレーカラーの街をよりカラフルに変えていくこと。また一時でも絵を見た人が喜んでくれることを望んでいるようです。ビルが増え、変化していくこの街で、グラフィッチはもう溶け込んでいるようです。巨大な壁に描かれたインパクトある、カラフルな絵。リアル過ぎて圧倒される絵、見ただけで描いた者の気持ちが伝わってくるような絵。まるでギャラリーにいるような感じです。まさにストリートアートです。次に出かける時はどんな絵に出会えるのでしょうか?