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  • 2020.09.10
  • ブラジルの医療事情
今日は私が知っている範囲でブラジルの医療事情をお話したいと思います。ブラジルの憲法において医療保障は「国家の義務・国民の権利」であり、また、外国人も公立病院での医療費は無料です。治療費も入院費も無料です。
1988年に医療統一システム、Sistema Único de Saúde(SUS)が創設されました。2007年に、Unidade Básica de Saúde (UBS)という名で医療センターが改善され、各センターには一般科医、産婦人科医、小児科医、歯科医と看護師がいます。UBSで患者の80%の治療をする事が目的であり、手術や入院が必要であれば、SUS の病院に移すシステムです。2009年には24時間体制救急センター、Unidade de Pronto Atendimento (UPA)が設けられました。UPAでは最高24時間までは治療の経過をみますが、入院となるとSUSの病院に移されます。救急医療隊Serviço de Atendimento Móvel as Urgência(SAMU 192) もあり、救急車にはSAMUと大きく書かれてます。
コロナウィルスの件でも、症状が出たらまず自宅に近いUBSまたはUPAに問い合わせるよう国民に呼びかけました。
2017年のデータでは全国で公立医療センターの数は42,488です。
しかしブラジルの2億人もの国民を診るのにはとても足りず、救急でも待ち時間が長く、検査もすぐにしてもらえず、一カ月待ちと言われる状態もしばしばあるそうです。その上、薬が十分に配布されなかったり病院の設備や衛生管理が悪かったり、医師や病院の従業員の支払いが遅れたりで、問題は尽きないようです。


国民の約30%は民間医療保険に加入してます。加入者のほとんどは勤めている会社を通して加入していますが、個人で加入することもできます。各種の医療保険会社がありますが、医療保険会社の中でも色んなプランがあり、加入するプランによって、使用できる病院、診察、検査などが定められます。プラン外の専門医に見てもらいたいのであれば、あらかじめ自費で払い、医療保険会社から一部を払い戻してもらえる事も可能です。高齢者ほど月謝が高くなり、最低でも月々R$1000,00(約US$250)支払っているでしょう。
例えば産婦人科医にかかりたいとします。加入しているプラン内で、先生を選び、その先生の診療所でアポイントを取ります。診察を済ませて検査となると、自分でプラン内の検査する病院または検査専門センターでアポイントを取ります。検査結果がでたら、以前かかった産婦人科医に見せます。ここまではプラン内で許可された医師、検査センターなので加入しているプランのカードを見せるだけで何も支払いません。もし、産婦人科医が薬を処方した場合、自分で薬局に行って自費で薬を買います。薬局によっては、医療保険会社のカードを見せると少々割引してくれます。
私立病院にもコロナウイルスに感染した患者が多く入院し、医療保険会社からは専門医とのオンライン診察の案内がありました。

医療保険会社に入っていなくても私立病院や医者にかかることができますが、その場合の診察、検査、薬など全て自費になります。医師によっても診察料が異なりますが、R$100~R$800(約US$20~200)です。入院となると更なる高額になります。
医療保険会社に加入している又は加入できることは、ありがたい事です。

特派員

  • 皆木サンドラ 奈美
  • 職業語学教師、ペーパートールクラフター

ブラジル生まれのブラジル育ち。大学卒業後、夫の仕事の関係で3年間滞在したシンガポールにおいて習得したペーパートール(=シャドーボックス)や語学を教えています。多国の文化や習慣を上手に混在させているサンパウロでの生活がとても気に入っています。

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