ポルトガルには、国民の祝日と各市が定めた、その市だけの祝日があります。
大体、その地域の守護聖人を祝う日が祝日として定められているのですが、私の住むマフラ市は、「Dia da Esxpiga(花穂の日)」という日がお休みになります。この日は丁度、キリスト昇天祭の日と重なります。キリストは、死後復活し、弟子たちの前に現れます。それから40日後に弟子たちを連れオリーブの丘へ行き、そこで昇天し、姿を消します。要するに、復活祭から40日後の木曜日(Quinta-feira da Ascenção)がこの「Dia da Esxpiga(花穂の日)」に当たります。この日の由来は、一年の初めの果実を祝福する、古いキリスト教の儀式とされていますが、そのはるか前の自然崇拝時代の女神フローラの祭りが、伝統として残ったとも言われています。いずれにせよ、この日は仕事をすべきでない、一年で最も神聖な日とされており、真昼の1時間は、川の水も流れず、牛乳はチーズにならず、パンは膨らまず、葉は絡まると伝えられていました。そしてこの全てが停止した1時間の間に植物を収穫し、花穂の花束を作り、薬草が摘まれ、雨の場合は、少しの花穂を燃やし雷を避けました。今では、真昼という時間設定はありませんが、野原を歩き、草花を摘み、Espigaの束を作るのには変わりありません。また、この束には必ず6つほどの草花が含まれているのですが、それぞれには意味があります。
• 花穂(麦):パン(常に食べ物があるように)• オリーブの葉・枝:平和と光(オリーブオイルで火を灯した)• マリゴールド:金銀• ポピー:愛と生• ローズマリー:健康と力• ぶどうの木:幸せとワインこの束を玄関のところに、よく年の「Dia da Espiga」まで吊るしておきます。そうすると、それぞれの草花が意味する事柄がやってくるという訳です。今年は、私も家族全員で村のEspiga 散歩に参加しました。村だと親子三代のところも珍しくありません。子供もお年寄りも協力し合いながら谷間や野原を歩きました。
男の子は自転車で先を行き、道を確認。小さな子は、大人の手を取り、おばあさん達は、子供に引っ張られ・・・。1時間ほどして目的地につくと、女性たちが一斉に集まってEspiga の束を作り始め、全員に配ってくれます。
その後、みんなでピクニックをし、遊んだり、おしゃべりして一日を過ごし、気付けば夜になっていました。長い一日でしたが、非常に癒され、家族全員清々しい気持ちで家に戻りました。最近では、Espiga の束も花屋や道端で売るようになりました。でも、こうした習慣は、いつまでもなくならないでほしいなと思います。