徳島もレイリアも馴染みはなく、少し考えてみても、これらの土地と私を結ぶものは、ほとんどない。「ほとんどない」という言い方をするには、私にはレイリア出身の友達が何人かいるからである。
仲の良い、修復の仲間。彼女に紹介してもらった、東京多摩美術大学で学んだアーティスト。修復士兼造形作家。石の彫刻家などだ。
なぜこんなにもみんなアート寄りの人ばかりなのかは、「類は友を呼ぶ」というのもあるが、レイリアには石専門の修復士の学校があるからだと思う。レイリアに生まれ育ち、この学校を卒業した生徒たちの何人かは、この地域の歴史的建造物の修復に携わるのだろう。そもそもレイリアには、ユネスコ世界遺産の修道院・教会が二つもある。
実は、上で挙げた友達の一人が若くして亡くなり、レイリアの町に行ったのは彼の葬式が初めてであり、それ以来そのエリアとの関係が私の中では薄れていた。
二週間ほど前、日本にいるアーティストをしている友人からポルトガルに来ると連絡を受けた。ヨーロッパとは無縁な人物だったので、不思議に思い訳を聞いてみると、なんとポルトガル人、日本人、ブラジル人のグループ展で来ると言うではないか。それも、レイリアで。
徳島・レイリア姉妹都市提携50周年記念の一環で、展覧会が企画され、それに招待されたらしいのだ。
しかし、私の友人、そして同じく招待された別の日本人アーティストは、徳島出身でも、徳島在住でもない。そこで彼らは、徳島を代表する製品を使って作品を作ったらしい。
それが「和紙」。
以前私が知っていたのは、和紙には印刷が難しいと言う事。まず角がない、厚みが均等でない、繊維が機械に絡まる、などの理由から和紙への印刷は、ほぼ不可能であった。それが今は印刷技術が高まり、それが可能になったらしい。しかも一種類の和紙のみでなく、いくつかのバリエーションが可能らしい。そして、更に驚きだったのは、写真でさえも印刷ができるようになった事!
私はレイリアの展覧会(オープニング)には、行けなかったのだが、友達は自分の作品を和紙に印刷したものを展示し、もう一人の日本人アーティストは、和紙に日本画を描いた作品を展示したようだ。
余裕があったら、久々にレイリアを訪れるのもいいだろう。