70,000平方メートルという広大な敷地内に、いくつものホールが立ち並び、ドイツ国内のみならず、国外からも1500社という企業が出展します。メイクアップアーティストや理美容師、ネイル、フットケアなどを従事している専門職の方々で賑わいました。(来場者推定:55,000名)(専門メッセなので、残念ながら一般者の入場は不可。)
メッセでは、展示者が直接ポテンシャルのあるバイヤーとコンタクトがとれたり、新しいマーケットやブランドを開拓したり、同業界の人と出会えたりと参加する魅力が沢山詰まっています。また一流アーティストによるデモンストレーションは斬新的なアイディアをもらえるチャンスでもあり、技術向上に欠かせないイベントと言えるでしょう。
そんな中、今回はある日系企業のブースでいけばなを展示する機会をいただきました。
春のお花のテーマは、「桜、竹、アイリス」です。
四季のあるドイツには桜の枝も豊富にあり、日本的ないけばなができる大変嬉しい土地柄です。約50年も前からいけばなが根強く愛されているのも、枝ものの花材が豊富なことも理由の一つかもしれません。
幸運なことに新鮮な太めの竹が入手できたので、竹の葉っぱを生かしたいと考えました。竹は下から水揚げができないため、葉っぱのついている方の上から鉄の棒で節を貫通させ、塩を一つまみいれたお湯を注ぎます。その他にも酢水、度数の強いウォッカなどのアルコールなどで水揚げする方法もあります。また乾燥を防ぐため、葉の部分を濡らした紙で包んでおくのも効果的です。そうすることで、通常すぐに枯れてしまう竹の葉も1週間近く長持ちさせることができます。いけばなはお花を飾るだけでなく、いかにして長持ちさせるかの知恵を伝授できます。
今度は竹の強度と柔軟性を生かすため、竹を割いて曲線を作ってみました。竹が戻ろうとする力を逆手にとると、春らしい躍動感のあるラインが生まれ、3つの花材が調和されました。
しだれ桜のお生花と竹、アイリス
桜の大いけ
ドイツ人の友人による作品
プロフェッショナルなアーティストが作るメイク、ヘアスタイル、ネイルなどは、人の手で美を作るという芸術性という観点からいけばなと似ており、多くの美に関心のある人に日本の美を少しでも紹介できたことは、大変貴重な経験となりました。会場内を華やかに飾る花の生命力が人々の心を和ませ、より一層活力を与えることができたならば嬉しい限りです。