外国人が日本を訪れると、公共空間の清潔さやゴミの少なさに驚きます。反対に、日本からベルリンに遊びに来る人たちには、街の汚さや散乱したゴミの多さが目につくようです。ベルリンの中でも、高級住宅街と移民率の高い地区、観光エリアとオフィス街では、それぞれ雰囲気や消費形態が全く異なるので一概には言えないかもしれません。それでもやはり、ベルリンから他の街に行くと、街路の整然とした感じにこれまた驚かされますから、まあ総じて汚いです。市街地のアパートは、裏庭などに共同のゴミ捨て場があり、色とりどりの1100ℓ巨大ポリバケツが置いてあります。普通ゴミ用(黒)、リサイクル(黄)、色別に分けられた空きビン回収(緑)、紙ゴミ(青)は必ずあります。他に、小さな生ゴミ用(黒)やリユーズゴミ用(オレンジのコンテナタイプ)が置いてあることも多いです。前者には、野菜くずなどが集められ、バイオガス発電に利用されます。後者には、古着や電化製品など、洗浄・修理を経て転売されるものが集められます。投棄に騒音を伴うガラスゴミや古着・靴等は、緑地などに、より大きなコンテナが置いてあります。廃棄ゴミとリサイクルゴミの比率が、ベルリンと他州で大きく異なることから、ベルリン人はゴミの分別をあまりしないと報じた新聞記事がありました。実際、紙ゴミのポリバケツに、普通ゴミが投げ込んであることなどもしばしばあります。ベルリン市のゴミ収集と公共空間の清掃は、ベルリン市清掃事業BSRが管理しており、BSRのイメージカラーであるオレンジ色のゴミ箱が路上の至る所に設置してあります。公園や川辺など、人の多く集まる場所には1メートル四方程の巨大なかごも置かれており、路上ゴミ対策は日本より数段良いと言えるでしょう。それでも、ゴミ箱に目の届く位置のみならず、手の届く位置でもポイ捨てがしてありますから、人々をゴミ箱へ誘う何か別の工夫が必要であるということです。そこでゴミを捨てると話すゴミ箱なども登場しましたが、話題作りの域を出ませんでした。私の考えでは、この通称オレンジボックスの難点は投入口と本体の小ささにあります。誰かがピザの箱を一つ捨てると、もう満杯になり、次の人はゴミ箱の足下にゴミを置き、ゴミ箱付近からゴミが溜まり出します。この投入口の小ささは、大型ゴミ不法投棄の対策と考えられますが、みな処構わず路上に大型ゴミを放置しますから、そんな対策は不要です。
一方で、路上の大型ゴミ放置は、ベルリンの良い部分ともいえるでしょう。私も学生時代は、マットレス以外の全ての家具を、路上で見つけた物で間に合わせていました。状態の良い家具や日用品、衣類などは「ご自由にどうぞ」の張り紙と一緒に道に置かれることが一般的です。引っ越しの際、古本や衣服、誰にいつ貰ったかわからないキャンドルなど、私も不要品を置いたところ、面白いぐらいあっという間に捌けました。皆さんもベルリンにお越しの際は、路上でちょっとした掘り出し物と巡り会えるかもしれません。
- 2015.07.31
- ベルリンゴミ事情