- 2015.07.17
- グラナダからお初天神へ
スペインの人々の日常生活に欠かせない飲食店が、バル(BAR)です。カフェテリア(Cafetería)や、タベルナ(Taberna)などと呼ばれることもありますが、内容は似たりよったり。朝から晩まで通し営業の喫茶店に、スナックと居酒屋が合体したような場所です。老若男女が出入りするご近所衆の溜まり場、井戸端会議場的存在でもあります。
日本の「ちょっとお茶でも」という場面で、スペインでは「一杯飲みましょうか」と軽く誘って手近なバルに入ります。コーヒーやコーラの場合もありますが、一番多いのはビールやワインを一杯ひっかけて気分転換するのが、それこそ日常茶飯事。
バルでアルコール類やソフト・ドリンクを注文すると、必ずと言っていいほど一緒に出てくるのが『アぺリティボ(aperitivo)』と呼ばれるおつまみです。一般的には、ピーナツ、ポテトチップス、オリーブの漬け物、チーズなど、簡単な乾き物のアテ。飛行機内で飲物と共に配られるピーナツあられの小袋みたいな感覚でしょうか。料金は飲み物代に含まれているのが普通です。
とは言うものの、バルに入ってカウンターのガラスケースの中に美味しいそうな“おかず”が並んでいたら、ちょっと味見したくなりませんか。その料理を少々分けてもらうと『タパス(Tapas)』という小皿料理になります。もちろん有料ですが、小腹が空いた時には便利なシステムですね。日本の居酒屋で出される、ちょっとした小鉢料理みたいな物でしょうか。日本でも、このタパス料理を提供する店がスペイン居酒屋やタパス・バルとして増殖中とお見受けします。
先日、世界遺産のアルハンブラ宮殿で有名なグラナダへ行ってきました。バルでビールを注文すると、突き出しで出てきたのは立派なタパス料理。なんとこれは席に座ると必ず出てくるサービスなのです。そこで根っからの食い意地(のん兵衛根性?)を発揮してもう一杯注文すると、これまた只ならぬ量と質のタパス。聞くところによると、グラナダはこのようなサービス・タパスが提供される店が多いことで有名な町だそうです。例えば日本の居酒屋でビールや酒を注文するたびに、どて焼きや串カツが無料の突き出しとして提供されるようなものですね。次はどんなタパスが出てくるか、期待を込めて「もう一杯!」・・・ハマりますね。
久しぶりのグラナダ滞在。バル巡りで色々なタパスを堪能しながら、日本のタパスを思い出していました。
随分と昔になりますが、知人に連れられて、大阪のお初天神近くにある池田の造り酒屋が経営する居酒屋に行きました。酒を注文するとすぐに登場したのが、突き出しの豆腐一丁。一丁そのままの潔さにまずびっくり、そしてそのおいしさにまたびっくり。今でも懐かしく思い出します。
普段の生活の中での気取りないお手軽グルメをご理解頂きたく、はしたない事とは承知しながら一つひとつの値段を表記しました。(今年6月初旬のグラナダ価格です)