• 2015.07.24
  • 7月25日、大阪天神祭りとサンティアゴ聖人の日、不思議な偶然の一致とは?
以前の投稿で、カタルーニャ州の守護聖人サン・ジョルディについてお話ししました。今回は、スペインの国全体を守ってくれる聖人、サンティアゴのお話です。日本ではヤコブの名で知られているこの聖人は、イエス・キリストの12使徒の一人です。イベリア半島で布教活動をしたことに由来してスペインの守護聖人になりました。

サンティアゴがエルサレムで殉教したのは紀元後44年、師キリストの磔刑から10年後のことです。2人の弟子が、彼の亡骸を今のスペイン北西部ガリシア地方に船で運び、石棺に移して埋葬しました。その正確な場所は不明だったのですが、814年(一説には813年)の7月25日、羊飼いが不思議な光に導かれてお墓を発見し、同じ光を見た僧侶は司教にこれを知らせました。それを聞いた当時の王アルフォンソ2世の命令により、829年、その場所に教会「Supra Corpus Apostoli」が建立されました。その後増改築が繰り返されて様々な建築様式が重なり合い、現在の姿になったのがサンティアゴ・デ・コンポステーラ司教座聖堂です。

サンティアゴの司教座聖堂 写真1: サンティアゴ・デ・コンポステーラ司教座聖堂


このような経緯から、7月25日はサンティアゴ聖人の日となりました。スペイン全土で、特にガリシア州では祭日として、この日を盛大にお祝いします。また、この聖堂はヨーロッパの三大巡礼地の一つにもなっており、カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼道の最終目的地として、毎年多くの巡礼者が訪れます。

両陛下の御参拝 写真2: サンティアゴ聖人を参拝なさるフィリップ6世国王とレティシア王妃


話は移って、日本の平安時代。菅原道真公は左遷先の大宰府に向かう前に摂津大将軍神社を参拝しました。道真公の没後46年、949年のある日、突然、この神社の前に7本の松が生えて、不思議な光を放ったそうです。それを知った村上天皇が勅令を下し、大阪天満宮が創始されたとか。その天満宮で、サンティアゴ聖人の日と同じ7月25日に開催される祭りが大阪天神祭です。京都の祇園祭、東京の神田祭と並んで日本三大祭りの一つですね。

スペイン国旗カラー1 写真3:スペイン国旗カラーの傘(天神祭りの傘似ていませんか?)
天神祭傘踊り 写真4:天神祭り傘祭り


千年以上前に、不思議な光に導かれたご縁で、スペインでは王が教会建設を命じ、日本では天皇が神社を建立させました。7月25日の同じ日(時差は7時間ありますが)、サンティアゴ・デ・コンポステーラと大阪、一万キロ以上離れた二つの町がそれぞれの聖人・神様を祀って盛大にお祭りをする、楽しい偶然の一致ですね。

奉納花火 写真5:サンティアゴ大祭奉納花火大会


ちなみに今では道真公のことを指す天神様とは『雷神』を意味します。サンディアゴ聖人もその激しい性格から『雷の子』と呼ばれていたそうですが、これもまた偶然の一致?

特派員

  • 山田 進
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

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