4月23日はカタルーニャ州を守ってくれるサン・ジョルディの日。天神祭りと同じ7月25日に祝うのはスペインの守護聖人サンティアゴ、聖ヤコブの日、など今まで何回か守護聖人について
書きました。今回もまた守護聖人のお話しにお付き合いください。5月15日はスペインの首都マドリードの守護聖人サン・イシドロの日です。マドリード市ではこの日を祝日と定め盛大に祝います。(今年は日曜日に当たるので16日の月曜日が代休日)このサン・イシドロ氏、11世紀末頃回教徒支配下のマドリードで生まれた小作農民でした。とても信心深い人で農作業はほったらかしでお祈り三昧、なのに仕事はちゃんとできている…不審に思ったご主人がこっそり畑を見張っていると、牛たちが勝手に耕していた!という次第で900年前に自動走行耕運機もどきを使用した“奇跡の人”となったのです。これのみならず、深い井戸に落ちた息子を救う為にご祈祷で水位を上げて救出したり、家に来たご主人が水を所望したのに水瓶が空だったので、持っていた杖で地面を叩いて泉を出現させたりと、何かと水がらみのお話しが多く“雨乞い”の聖人としても知られています。水や雨と五穀豊穣とは切っても切れない関係にあるのでスペインでは農業従事者の守護聖人でもあります。
今でもわき続ける聖水の泉。
このサン・イシドロ祭り、マドリード市内至る所で様々なイベントが行われますが、やはり一番のメイン会場は奇跡が起こったサン・イシドロの野原“Pradera de San Isidro”と呼ばれる場所でしょう。イシドロ氏の住居跡には礼拝堂が建立され、出現した泉は現在まで“聖水”を求めて参拝者が絶えません。自動耕耘の現場も此処だという話です。マドリードの中心部にある太陽の門の広場からは3km程度のハイキングコース、昔から参拝がてら野遊びには最適な場所となっています。 今年は集まった善男善女に“野点”のパエージャが振る舞われました。
ジャンボ パエージャ調理中、と言うよりさながら工事現場。米50Kg.約500人前だそうです。
井戸から息子を救い出すサン・イ シドロです。
マドリード人のお祭り衣装です。
王立絨毯壁掛工房の下絵を担当していたゴヤは、国王陛下の命によりこの野原でのサン・イシドロ祭りの模様を描いています。1788年作のこの作品、手前にはピクニックに興ずる市民たち、マンサナレス川の向こう側は小高い丘にあるマドリードの眺望です。