• 2017.03.28
  • 譲位
日本では陛下が『譲位』のご意向を示されて以来ずいぶんと多くの議論がされていますが、未だその道筋は明確ではないようです。スペインでは、3年前の2014年に当時の国王 フアン・カルロス1世陛下が39年間の公務を離れ王位を長男の皇太子フェリペ殿下に譲りました。その年に76歳になった国王はご体調や諸般の事情に鑑み、6月2日 譲位の意向を表明したのです。

スペインも王国とは言え日本と同様『立憲君主国』ですからその後議会の承認を経た上で、同月19日に退位なさり、同日新国王フェリペ6世が誕生しました。その時、マドリードの王宮のバルコニーにお立ちになりスペイン国民に世代交代のお披露目をした写真です。退位された夫の労をねぎらう母君ソフィア王妃の後ろ姿が印象的ですね。

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フアン・カルロス陛下の労をねぎらうソフィア王妃

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新旧交代のご挨拶

ソフィア王妃はギリシャ国王パウロ1世の長女としてスペイン王家に嫁がれました。つまり国王の娘が、国王の妻になり、ここに国王の母となったのです。ついでと言ってはなんですが、彼女の弟も国王でした。
ギリシャ王国最後の国王となったコンスタンティノス2世です。ローマ・オリンピックのヨット競技で金メダルを取ったことでも知られるスポーツマンです。そういえば夫のフアン・カルロス1世は1972年のミュンヘン大会、息子のフェリペ6世は1992年のバルセロナ大会に、ともにヨット競技でスペイン代表として参加しています。

このスペイン王室、日本の皇室とも親しい間柄で、フアン・カルロス1世は皇太子時代を含めて7回、新国王フェリペ6世は皇太子時代に3回訪日されています。また平成25年にはスペイン・日本交流400周年を記念して皇太子殿下が6度目のスペイン訪問されました。支倉常長を団長とする慶長遣欧使節団派遣から数えれば400年ですが、それ以前イエズス会士フランシスコ・ザビエルの日本上陸は1549年ですから実に470年近くのお付き合いですね。

この長い西日関係にまたひとつ絆が生まれます。フェリペ6世スペイン国王両陛下が今年4月4日から7日まで国賓として訪日されることになりました。4日間という限られた日数、公務ながら日本滞在を満喫なさって頂きたいと思います。

特派員

  • 山田 進
  • 職業スペイン語・日本語通訳

スペイン政府より滞在許可と労働許可を頂き、納税・社会保険料納付をはじめて早37年。そろそろシルバー人材センターへの登録も視野に入った今日この頃、長い間お世話になったこの国のことを皆様にご紹介できることを楽しみにしています。

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