マドリード州・県の総面積は8030k㎡で淡路島を除いた兵庫県と同じ位の広さです。その中で主な公共交通機関としてはまず、マドリード市営地下鉄があげられます。大阪で最初の地下鉄は梅田・心斎橋間3.1㎞で、開通したのが1933年だそうですね、そしてマドリードの地下鉄はそれより14年早く、1919年に中心部のPuerta del Sol駅とCuatro Caminos駅の間3.5㎞で営業開始しました。開通式は当時のアルフォンソ13世国王陛下が開通の儀を執り行ったということは国家的大事業だったのですね。それから拡張を続け現在は13路線、総延長293㎞、駅数はライトレール線も含めて317か所の規模になりました。世界地下鉄総営業距離ランキングでは8位の東京に続いて9位につけています。
図1.こちらがマドリード地下鉄とライトレール路線図です。
次に今年営業開始75周年を迎えるマドリード市営バスは現在 219路線、停留所数は10,367か所、路線総延長距離は3,705㎞です。そのうち29路線はフクロウ(Búhos)と名付けられた深夜早朝サービス路線で通常路線の営業時間外の23時頃から05時頃まで運行しています。
図2.はマドリード市バスの路線図です。左下にはフクロウ路線、右下には地下鉄路線図も含まれています
そして州内の町々を結ぶ中距離バスは324路線、総延長19,065㎞です。下に記した国鉄線と重複するルートもありますが、当然のことながら鉄道よりもきめ細かく停留所が設定されていて人口の少ない町や村などの過疎地域もカバーしています。以前頻繁に通った人口72人の山村ラ・イルエラ村(La Hiruela)へも平日2便、土日祝日1便の公営バスが通っています。
図3.はバスの中距離路線の全貌です。
そして州内にあるスペイン国鉄RENFEの近郊路線も充実しています。近郊線を使うとマドリードの北部に位置するエル・エスコリアルへ行くことができます。そこには王家の霊廟、王宮、修道院、古文書館、博物館などを含む16世紀に建設された複合施設の巨大建造物、世界遺産でもあるエル・エスコリアル修道院があります。
また、50㎞南へ下ると盲目の作曲家ホアキン・ドロリゴの名作でギターとオーケストラが共演する“アランフエス協奏曲”で有名な王家の夏の離宮があるアランフエスの町があり、45分で到着です。蛇足かもしれませんがこの町の名物は苺とアスパラガスで、毎年苺の旬にはマドリードから“苺電車・El Tren de la Fresa”が運行されます。
そして東へ向かえばドン・キホーテの物語を著したセルバンテスの生地であり、その大学と歴史地区が世界文化遺産に登録されたアルカラ・デ・エナレスの町も40分の距離です。
図4.はマドリード州内のスペイン国鉄RENFE近郊路線図です。
以上すべての地下鉄路線、市内バス路線、近郊および中距離移動バス路線、州内スペイン国鉄路線、に何回でも乗り降りし放題パスが65歳以上の高齢者は430円/月と超お買い得なのです。
“サンデー毎日”の年金生活者としてはこの格安パスを利用してマドリード州内東奔西走、南船北馬の遠足三昧といきたいところですが、なにしろ第5波、6波と油断ならない状況下、それなりの自粛生活での外出といえば三日に一度のスーパーマーケットへのお買い物と日々の分別ゴミ出し、月に一回わくわく・ドキドキ健康診断、それから密をさけながらのお散歩、ついでに公園での野鳥観察やらベンチに座ると集まってくる雀とか鳩たちにパン屑の餌付などでやり過ごすしオミクロンをかいくぐる日々を過ごしております。しかし本当のことをいうとコロナ禍以前の生活と大差ありません。
(*)スペインの地方自治体17州中1県だけで構成されているのはアストゥリアス州(県都・州都はオビエド市)、カンタブリア州(県都・州都はサンタンデール市)、リオハ州(県都・州都はログローニョ市)、ムルシア州(県都・州都はムルシア市)、とマドリード州(県都・州都はマドリード市)です。あとアフリカ大陸にセウタとメリージャという州・県を構成しない自治都市が2つあります。