ドゥオモ広場には、毎年巨大なクリスマスツリーが建てられ、お店や自宅にもクリスマスツリー。通りやデパートにはきらびやかなイルミネーションが施されます。クリスマスが近づいてくるんだなー、とワクワクしても良さそうなのに、実は、私は憂鬱になるのです。これは一応内緒。
クリスマスのイルミネーションは綺麗だし、コンサートやイベントも盛んな時期となって楽しみも増えるし、クリスマスマーケットを見て回るのも楽しいのですが、クリスマスプレゼントを買いに出る買い物客で、町の交通量は普段の2倍になるのです。
通勤時間は普段の2倍かかることを計算して家を出る必要があることは、20年以上住んでいてよくわかっているのですが、それでも、それを自分に納得させて早く家を出ることはなかなか出来ないものです。
通常の2倍になった交通渋滞にミラネーゼたちはイライラしていて、言動も運転も荒っぽい上に、更には仕事帰りにプレゼント探しに買い物に出かける大人たちの傍、苦労も知らずにクリスマスプレゼントをひたすら心待ちにする子供達。子供はいーなー!
イタリアでは12月25日は家族や親戚が集まってお祝いをし、ご馳走を分かち合い、プレゼント交換をし、トンボラと呼ばれるビンゴみたいなゲームをします。もちろんサンタクロースからのプレゼントも欠かせません。
が、サンタクロースより伝統的で歴史のある存在が、いるのです。それは1月6日に現れるべファーナと呼ばれる魔女のお婆さん。クリスマスに両親から、家族中から、親戚中から、知り合いから、そしてサンタクロースからプレゼントを山ほどもらったイタリア人の子供たちは、2週間も経たない1月6日にまた新たにプレゼントの山。
ベファーナについて私がよく知らなかった頃、クリスマスが過ぎるとサンタクロースが消えて、ほうきに乗ったしわくちゃ顔のお婆さんの人形が街中に飾られ始めて、お世辞にもチャーミングなおばあちゃんとは言えないし、どちらかと言うと薄気味悪い顔立ちなので変なキャラクターがイタリアでは人気があるもんだなー、と不思議に思っていたのですが、キリスト教においては大事な日だと言うことがわかってきたのでした。
由来では、東方の三賢者が、生まれたイエスに会いに行く途中にある町のお婆さんの家でお世話になり、イエスに会いに行こうと東方の三賢者がそのお婆さんを誘ったところ、お婆さんは多忙を理由に断ったのです。後日、お婆さんは断ったことを後悔して後を追ったのですが成すすべがなく、その後お婆さんは亡くなっても、イエスを探し続けてさまよい、家々を訪れては誕生を祝うための贈り物を置いていく、のだとか。
このべファーナの面白いところは、その1年間、行いの良かった子供には素敵なプレゼントを。行いの悪かった子供には、炭の棒を贈ったとか。それで、イタリアの各家では、1月6日の朝にはクリスマス時のように靴下が下がっていて、飛び起きてきた子供たちは靴下の中にプレゼントを見つけるのですが、中には、炭に似せたお菓子を入れておく悪戯心に溢れた親御さん達もいて、子供をドッキリさせて笑う事も。
あなたの1年の行いは、いかがでしたか?