戸惑ったのは、制服を着用しない業務員や係員などが普段着のままで応対し、場合によっては、いえ、場合によってというより正確には、その人の服装によってはサービスを受ける一般市民との区別がつかないもので私服姿のその人物に、それも結構着崩れた格好の人が応対にあたって、一見して不明人物に誘導されたりして、当初私はまごついたものでした。制服不着用はさておき、私の用件を聞いているのか聞いていないのか、そばにいる同僚とおしゃべりを続けながらの応対で、私は自分の用件が完結したのかもわからずに佇んでいることもあったりするのでした。
日本でしたら、各機関、又は各業務にふさわしい制服を着た係員が丁寧な物腰で接し、ベルトコンベアーに私を乗せるかのようにして、それはまるで魔法の杖を振ってくれたかのように手続きや物事がスムーズに完結していく印象があったものでした。
そんな日本にもちょっとした変化があって、一昔前までのビジネスマンはワイシャツにネクタイでしたけれど、最近は職種によってはポロシャツにジャケットで出勤が主流になったとか。これは意外でした。
女性の方はというと、これまた時代の移り変わりなのでしょう、働く女性の服装は昔とは違ってシンプルで質素なファッションスタイルに変わっていて、ジーンズにスニーカーの場合も多々あるというではありませんか。これも意外でした。
ところで、イタリアではデートに出かける女性はハイヒールなどを履いてフェミニンなラインを強調し、バッグやジュエリー、メイクなど全体のコーディネートに統一感を持たせ、自分の個性を最高に生かすファッションをするのが得意です。デートの場所柄は、どちらかというとロマンチックなロケーションを好み、ワイングラスを傾けながら冗談などを言って場を盛り上げ、自分の意見もしっかり伝えて積極的に会話に参加しオープンな雰囲気を作るのが上手です。その晩の主役のような存在感を発揮する感じです。
一方、日本女性はどうなのでしょう?最近ハイヒールを履いている女性が少ないと聞きました。きっと、繊細な細工のアクセサリーなどでさりげないお洒落を楽しんで、控えめで可愛らしいファッションにするのでしょう。ファッションで自分のアイデンティティーを表明するよりも、場所や相手に合わせて配慮した服装選びをするのが得意だと思います。よくTPOに合わせた服装というのが何かと話題に取り上げられてきたと思います。服装だけでなく会話に関しても、自己主張するよりも聞き上手な女性が多いのではないかしら。
一方デートに誘った方のイタリア人男性たちは、どんな服装なのでしょうか?めかしこんだ女性の傍、男性の方は意外にもカジュアルでシンプルで、バイクで移動する人が多いせいか、スポーティーな服装というケースをよく見かけました。バッグを持ってあげたり、夜の外気で女性が寒がっていたら上着やセーターを貸して羽織らせてあげたりと、楽しかったと言うメッセージもその晩のうちに、そうでなければ次の日には送って、女性を喜ばせてあげるイタリア人男性、素敵じゃないですか?