• 2025.03.10
  • 火山
私は、防災用の飲み水などの貯蓄はしてあるけれど、料理をせずに食べられる食料品の備えに乏しいのが日頃から気がかりで、というのは、イタリアは防災意識が日本のそれと比べると劣るので、日本のように防災用食品が充実していないのです。

なので、軽度レベルの非常事態を想定した上での備えとしては、パスタを茹でる事が出来て加えてトマト缶も温められるといったような、極めてシンプルな食事で過ごせる蓄えは一応してある、となんとは無しに私が言った時に、その場の皆んなが驚いているような空気が流れました。

と言うのは、地震大国で育った日本人の私には防災意識が根付いているらしく、防災用の蓄えをする習慣がないイタリアに来てから心許なく思っていましたので、少なからずの生活必需品の蓄えをして安心したい。

防災といえば、火山の噴火も想定に入れる必要性が高いのは、火山国である日本もイタリアも同じ。


イタリアの火山事情は、日本のそれと似ているところもあれば、ちょっと違うところもあって興味深いです。似ている所は、火山灰や溶岩がもたらすグルメ関係。

ところで、今はお休み中の火山、ヴェスヴィオ山はナポリ近郊に位置しています。この火山の周辺には約60万人が住んでおり、ナポリとの距離も約10キロの近距離なので約3000万人が危険範囲内に住んでいるそう。ヴェスヴィオ山はヨーロッパで一番危険な火山と見なされていて、それ故に避難計画も世界で最大級のものが策定されているのですが、それが72時間以内に60万人を避難させるという大規模な集団避難計画なので、実は幻の計画と思っている人も多いらしい。


危険地区に住んでいる住民の多くは、噴火のリスクを把握することなく、何十年も噴火していないから大丈夫という楽天的な考えを持っているので、実際に避難指示が出た時にどれだけスムーズに行動できるかが疑問と言われています。しかも、火口付近には違法に建築された建物が多く、危険な地域からの立ち退き政策も徹底していないので、避難計画の対象として登録もされずに、火口付近に住む住民が多いことが浮き彫りになっています。

一方、シチリア島の北部に浮かぶ島、ストロンボリ島は常時小規模な噴火を繰り返している火山島。



噴火が名物となっていて、ナイトクルーズで島の周りをまわり、夜の噴火や斜面の上を流れる溶岩、火口から火花が噴き上がる光景も楽しめる観光が出来ます。更には、火山トレッキングと呼ばれているガイド付きのツアーもあり、噴火口の近くまで行くことが出来て、頂上では噴火の爆発音が聞けたり、火花が間近で見られる世界で最も珍しいスリリングな観光もあります。当初はガイド無しで火山トレッキングが出来ていたとかで、大噴火が起きた2019年に、火口付近をトレッキングしていた登山者が灰や火山弾に襲われた事件から、安全対策が強化されていき、ツアーには必ずガイドが同伴する仕組みが導入されました。その噴火の年をよくよく見直すと、危険な状態での自由な観光が長年に渡って行われていたことに驚きませんか?

特派員

  • 三上 由里子
  • 職業音楽家

チェリスト。ミラノを本拠地にソロとアンサンブルの演奏活動中。クラシックからポップスまで幅広いジャンルのレパートリーを持ち、イタリアの人気コメディアンの番組にバンド出演中。

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