• 2022.02.25
  • オーストラリアを丸ごと祝福する日
オーストラリアという国を理解したいと本気で思うなら、毎年1月26日の「オーストラリア・デー」(オーストラリア建国記念日)を体験しないことには始まりません。
この日はオーストラリア大陸の国民の祝日で、パーティやパレード、特別イベントなど、大小さまざまな催しが行われます。
1月26日は、1788年、シドニー・ハーバーにイギリスの艦隊が初上陸した記念すべき日で、ありとあらゆる形のお祝いが繰り広げられます。オーストラリア建国の礎である多文化主義、自由、ポジティブ志向といったすべての価値観を祝福する日です。
1000年の歴史があるヨーロッパの国々と異なり、建国してやっと200年が過ぎたばかりのこの国の短い歴史を振り返るための日でもあります。
すでにお話ししたように、国中いたるところでさまざまなイベントやパーティ、コンサート、パレードが行われますし、国内の主要都市では、花火が打ち上げられるのを待ちながら海辺で絶品バーベキューを楽しむ光景も見られます。
オーストラリアっ子はとにかく花火が大好き。オーストラリア・デーともなれば、見事な花火も打ち上げられます。
何年か前、私はブリスベンでオーストラリア・デーを過ごしました。ブリスベンのサウスバンクの庭園で、ミュージシャンの生演奏と屋台の料理を楽しみ、花火を眺めたことを思い出します。
この日シドニーにいる人は、ダーリング・ハーバーに行くのもいいでしょう。1月26日に楽しめるアクティビティがいろいろ催されています。夜9時ちょうどからの打ち上げ花火は必見です。
オーストラリア・デーがある1月、南半球では夏ですから、野外や海辺でこの日を祝うことも少なくありません。ノース・ボンダイのグラッシー・ノールやセンテニアル・パークなど、シドニーにある公園はバーベキューができるところも多いのです。
ラミントン卿にちなんで名づけられたおいしいミニケーキ「ラミントン」は、オーストラリア・デーのデザートによく登場するお菓子。ただ最近では、これの代わりにオーストラリア大陸の形のケーキを食べる人もいます。
個人的には、正統派のラミントンに軍配を上げたいところです。スポンジケーキのような固さでキューブ型の生地にジャムを挟み、ダークチョコレートとフレーク状のココナツでコーティングしています。
主だった都市では、オーストラリア・デーにコンサートやフェア、パレードも実施されます。たとえばシドニーの中心地から15分ほど車を飛ばせば、ライブコンサートやゴーカートのレースが見られますし、オーストラリア・デー・フェアの屋台の間をぶらぶら歩くこともできます。
オーストラリア・デーと同じ時期、やはり大都市の大規模なイベントであるシドニー・フェスティバルが開催されます。
シドニーのフェリー・レースもオーストラリア・デーならではのイベント。1月26日の朝、この日のために装飾を施したフェリーたちはサーキュラー・キーを出港すると、シャーク島をまわって、帰路はシドニー・ハーバー・ブリッジのたもとのゴールを目指してスピードを競い合います。サーキュラー・キーでは目の前で見物できますし、シドニー・オペラハウスから、またシドニー・ハーバー・ブリッジの上を散策しながら見ることもできて、レース中に大きな歓声が聞こえてくるのもいつもながらの風物詩です。
オーストラリア・デーは制度上も重要な位置付けにあり、オーストラリア勲章やオーストラリアン・オブ・ザ・イヤーといった栄誉ある賞が首相から授与されるのもこの日です。その1年間でとくに顕著な活躍をしたオーストラリア国民にはオーストラリア・デー・アチーブメント・メダリオンなどの賞が贈られます。
ただ、この日は、アボリジニ族の人々にとっては祝日ではなく、インベージョン・デーつまり「侵略の日」とされています。彼らの先祖の多くの命を奪い、土地を剥奪し、文化を破壊したのが、この土地に上陸したイギリス人だということも、また確かな事実なのです。
つまりオーストラリア・デーとは、単に、これらの事柄の対照的な側面をすべて含めて若き大陸の歴史的起源を胸に刻むための日に過ぎないということです。
オミクロン変異株のせいで、今年のオーストラリア・デーも通常とは様子が異なるものでした。いくつかのイベントは昨年同様に規模を縮小して行われ、中止になったものもあります。それでも、やはりこの日は特別な日であり、私たちはさまざまなことに思いを馳せ、感謝し、自由を讃えました。こうした行いが今こそ大切なのです。
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特派員

  • アルベルト フェランド
  • 職業土木技師

みなさんこんにちは!私はイタリア出身ですが2012年からオーストラリアのシドニーで土木技師として働いています。
趣味は、海岸沿いの散歩、サーフィン、写真を撮ることです。
旅行が好きで、以前はブログを書いていたこともあります。
私はシドニーを拠点としており、アウトドア派でローカルイベントにも詳しいので、皆さんにシドニーの素晴らしさを知っていただければ光栄です。

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