• 2019.12.11
  • OZ(オージー)アートの話をしよう
世界最古の芸術様式のひとつであるオーストラリアのアートには、控えめに言っても3万年もの歴史があります。では、オーストラリアのアボリジナルアートっていったい何でしょうか?
アボリジナルというのはオーストラリアのアートに関連する用語ですが、本来の語源があります。もともとはオーストラリア先住民を意味するこの言葉を使ったのは、植民地化時代にこの土地を占有した英国の入植者たちでした。
でも、オーストラリアのアボリジナルアートの原型は、ヨーロッパ人が上陸するよりずっと昔からこの地に存在していました。実際、紀元前2万年頃に描かれた洞窟壁画には、アーティストの魂のありようが描かれています。
オーストラリアン・アボリジニだけでなく世界中の多くの先住民にとって、過去の出来事や彼らの日常の暮らし、社会構造などはすべてこの地球との密接な関わりの中にあるものです。オーストラリアのアボリジニ文化圏では、この地球との強いつながりを定義した「ドリームタイム」というそのものズバリの言葉があるほどです。ドリームタイムは、アボリジニの文化の起源や彼らが理解する世界の起源を解き明かした、神話集とも言うべきもの。山や岩石や水たまりなどの自然界に存在する幾多の事象の創造主である精霊が、この地球と人間をこしらえていったのだと彼らは信じているのです。オーストラリア人は今でも儀式や典礼、歌などを通じて、あるいは夢を見ている睡眠時と覚醒時の中間にある精神状態で、自分の祖先と意志の疎通ができたりします。
4万年以上も前からオーストラリアに住んでいるアボリジニ以上にこの土地を深く知る者など、いるわけがありません。彼らこそ、この大陸を襲った気候の変動や、それによって現在の地形に至ったオーストラリアの変化を目撃してきた中心人物たちなのです。
オーストラリアン・アボリジニの人々が絵を描くことは文章を書くことと同じであり、外界や精霊たちの超自然的な世界と交信するための手段でもあります。画材として使われるのは、黄土などの鉱物染料やカンガルーの血、樹脂に水や唾液を混ぜた天然素材。棒きれを使った簡素なブラシなどを間に合わせの道具として、それらの色を塗るのに用いました。
それ以外に、絵の具を口に含んで絵を描きたいものの表面に吹き付けるという画法もあります。髪の毛や羽毛を縛ったり、糊で固めたりしたものも画材として使われます。身体に絵の具を塗るボディペインティングだけでなく、アボリジニの人々は岩の壁や木の皮にも絵を描いていました。
木の皮に絵を描くのは非常に多く見られ、下準備をすませた樹皮に、多くは蘭の搾り汁を使い棒や手で色を塗っていました。最もよく使われていたのがユーカリの樹皮。他の木の皮に比べてダントツにしなやかで、オーストラリアでは「ガムの樹」と呼ばれているんですよ。
オーストラリアン・アボリジニたちが自然界にあるキャンバスだけに絵を描いたのではなく、洞窟壁画もきわめて盛んであったことはよく知られています。洞窟の中や、手が届きにくい壁面や石の天井に描いた洞窟壁画は、この地域の文化において精神的・宗教的な意味で重要な存在でした。

X線画法はその名のとおり、対象となる生き物の外観だけでなく、エコー写真のように内部の臓器や骨格も一緒に細かく描き込む方法。
しっかりした解剖学の知識を必要とする画法ですね。これには大抵、哺乳類や魚、鳥、人間などが主題として選ばれています。
ドット・アートは、アボリジナル絵画としていちばんお馴染みのものではないでしょうか。本来は砂の上に絵を描くための技法だったのが、いつしかキャンバス画(現在はショップでも販売されています)となったドット・アートは、等間隔で描かれた様々な色のドットすなわち点描の、複雑で幾何学的な配列が特徴です。テーマとして描かれるシンボルは、ある主題(動物、人間、木など)を上空から見下ろした形を極限まで図案化した表現だと考えられています。

特派員

  • アルベルト フェランド
  • 職業土木技師

みなさんこんにちは!私はイタリア出身ですが2012年からオーストラリアのシドニーで土木技師として働いています。
趣味は、海岸沿いの散歩、サーフィン、写真を撮ることです。
旅行が好きで、以前はブログを書いていたこともあります。
私はシドニーを拠点としており、アウトドア派でローカルイベントにも詳しいので、皆さんにシドニーの素晴らしさを知っていただければ光栄です。

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