• 2021.04.09
  • オーストラリア移住のメリットとデメリット
3月
故郷のイタリアの友達から、オーストラリアに住んでいるなんて羨ましいと(いい意味で)よく言われます。
無理もありません。最初のロックダウンから1年が経ち、長引くコロナ禍でこのたび新たなロックダウンに入ったイタリアに比べ、四方を海に囲まれているという点で島国と同じ条件のオーストラリアは各段にマシな状況だし、オーストラリア暮らしがすこぶる快適なのも事実ですからね。
私は仕事がある状態で移住してきましたが、スポンサーがいない状態の就労ビザ(「技術系独立永住ビザ」と呼ばれます)の申請ってやつが非常にややこしいのです。オーストラリアに引っ越してくるのは本当に大変なことで、特に移民申請の場合は審査がとても厳しいので、この何年かはアドバイスを求める人だけでなく、とにかく励ましてほしいという人からも連絡が来るようになりました。
ヨーロッパ人を中心とする外国人の多くは、まずワーキング・ホリデービザを取ってこの国にやって来ます(コロナ禍以前の話)。このビザがあれば1年間オーストラリアで働けるし、何か月分かの就労先が農場であった場合、ビザを更新してさらに1年間滞在することができます。
オーストラリアの農場での就労が外国人に推奨されるのは、農業の仕事が大量にありながら、それに従事するオーストラリア人がほとんどいないからです。
こうした農業経験をして楽しんで2年続けてオーストラリアに滞在できたという人を、私はたくさん知っています。
中にはそのうち結婚したり良い仕事を見つけたりして、結果的に永住権を獲得した人も!
イタリア人コミュニティが数多く存在するオーストラリアでも、シドニーやブリスベンなどの東海岸エリアにあるイタリア人街が最大のもの。シドニーのインナー・ウェストには、伝統的に多くのイタリア人が暮らしています。
以前ノースショアに住んでいた頃は知り合いになったイタリア人家庭も多く、時に自分のお国ことばでお喋りするのも良いものでした。子どもたちは友達と遊ぶのにも英語で話していました。全員イタリア語も話せるバイリンガルでしたけど。
イタリア人学校というものはなく、子どもは家の中でイタリア語を覚えます。
イタリア人と会うのは楽しいし、初めての国に来て最初の1か月間は特に心が癒されるものです。しかし、いろんな国籍の人と知り合って早く馴染んでいくことが大切なので、私もそうしました。
地元の人と友達になることもとても重要なのは、言うまでもありません。
オーストラリア人は、世界で最もフレンドリーでカジュアルな人たちです。靴も履かない、シャツも着ないで人が外を歩いている姿も普通に見かけます。イタリアに比べて、たとえ職場であっても見た目や身なりにはずっと無頓着だし、あらゆることがとにかくカジュアルです。
オーストラリアでは地元での生産と取引に大いに力を入れています。そのため、スーパーマーケットよりも質の良いものを売るパン職人や農業従事者、農産物や海産物のマーケット、デリカテッセンなどがたくさんあります。
オーストラリアに住むことには当然、良い点も悪い点もあります。生まれ育った国を基準にして比べるとか、両方の違いとか、自分がどちらを好むかについて意識するのは普通のことです。どちらにせよ、この世界に完璧な国なんてないわけですから!
もっと公平に、正確に言うなら、人それぞれってことですよね。
ある国と別の国を比較して、片方の国にとても気に入ったものを見つけるのはよくあることですし、必ずしもどちらか片方がもう一方の国より良いとも限りません。
イタリアとオーストラリアの生活で一番大きな違いは「距離」です。イタリアはごく小さな国で、ヨーロッパ全体でもオーストラリアに比べれば小さいほどです。私もオーストラリア暮らしを始めるにあたっては、どこかへ行くには長距離ドライブをしなければならないとか、飛行機移動じゃないと最寄りの大きな街にも行けないなどといった覚悟をしなければなりませんでした。
それから、「気候」のことも考慮しなくちゃいけませんでした。山や高地が好きな人に申し上げておきますが、タスマニア州以外のオーストラリアはその真逆のようなところです。いわゆる平坦な土地が広がり、緑の多いクイーンズランド州を除く大部分はとても乾燥しているのが、オーストラリアという国なのです。
そのほかにも、世界で最も危険なすべての生き物がオーストラリアに生息していることにも適応する必要がありました。シドニーの都心に住んで都市圏から一歩も外に出ないという人でもない限り、クモやヘビやその他の動物に遭遇するタイミングはいつか訪れます。かく言う私もそうでした。
このような望まない出会いにとりわけ敏感なタイプの人ができることは、それに慣れてしまうかオーストラリアを離れるかの二択でしょうね。
他の国や大陸に移住するというのは今後の人生の命運を左右する一大決心で、十分な確信をもって行うべき選択です。今より良い職が欲しいという理由だけでオーストラリアに移住なんて考えられないですよね。運よく仕事が見つかるかもしれないけれど、それだけの理由で重大な一歩を踏み出すということではないはずです。
オーストラリアに移住する理由は千差万別で、それはイタリアだって同じこと。単純に数字だけを見てメリットとデメリットのどちらが多いかを判断するのは間違っています。最後に決めるのは自分の直感だと私は思うのです。

特派員

  • アルベルト フェランド
  • 職業土木技師

みなさんこんにちは!私はイタリア出身ですが2012年からオーストラリアのシドニーで土木技師として働いています。
趣味は、海岸沿いの散歩、サーフィン、写真を撮ることです。
旅行が好きで、以前はブログを書いていたこともあります。
私はシドニーを拠点としており、アウトドア派でローカルイベントにも詳しいので、皆さんにシドニーの素晴らしさを知っていただければ光栄です。

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