• 2021.06.29
  • オーストラリアの学校制度
オーストラリアとイタリアのそれぞれの「学校」の違いについて、故郷のイタリアの友人たちからよく聞かれます。
いくつかの技術講習と英語の上級クラス以外、オーストラリアで学校に通った経験がないので直接詳しく知っているわけではありませんが、この国で何年か暮らして、学校に関してわかったことがたくさんあります。
まず、オーストラリアの新学年は通常1月末に始まるということ。オーストラリアは州によって学校のカレンダーもまちまちなので、例えば私が住むニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州では始業日が違ったりします。
4月に秋休みがあり、6月から7月にかけてやって来る冬休みのあとに3学期、9月から10月の間に春休み、そのあとに4学期というのが一般的なパターン。夏休みがいちばん長く、12月後半(クリスマスの頃)から新学年がスタートする1月下旬まで続きます。
オーストラリアよりもイタリアの学校の方がいいかと聞かれれば、それを判断できる立場ではないので全くもって何とも言えないと答えるしかありません。
どちらにもすごく良いところがあり、学校に対する個人の考え方、子どもたちのために何を求めるかなどによって、選択は分かれることでしょう。両方のちょうど間をとったような学校があれば、理想的だろうと思ったりもします。
イタリアとオーストラリアの学校の違う点は多々あれど、煎じ詰めれば「公立校と私立校の制度の違い」ということになるんじゃないでしょうか。
オーストラリアでは、子どもの教育に関して私立校に頼る家庭がイタリアに比べて格段に多いのです。
公立でも私立でも、特に才能に恵まれた子どもたちのための学習カリキュラムがより充実した学校があって、試験にパスすれば入学できます。
オーストラリアで何年か暮らし、地元の学校にもいくつか訪問したうえで個人的に思うのは、公立と私立の根本的な違いは教育の質にあまり関係がなく、むしろ私立校で得られる数々のメリットにあります。例えば恵まれた環境、優秀な成績が得られ大学進学に有利、午後のアクティビティの質と量、高給でそのためにより協力的な教師、少人数制クラスなどです。
比率をわかっていただくために説明しますと、例えば私の近所には公立高校が1校だけなのに対して私立校は8校あり、1年間にかかる学費は8,000オーストラリアドルから20,000オーストラリアドルまでと幅があります。
学費を支払うという現実があるために、私立校はすべからく同じというわけではないようです。各学校はその学費を支払える階層の人たちを受け入れますから、個人的な意見としては、これは良くないことだと思います。階層ごとに学校を分けてしまうのではなく、社会的階層の異なる子どもたちが同じ学校に混在することがとても大事だと思うからです。
イタリアで通っていた公立の学校(高校レベルの私立校はとりわけ数が少ない)では、家が裕福ではなかった私でも自分がなりたいものになれると思えたし、一人ひとりの子と関わり、友達みんなと遊んで、社会的な差異を理解することができました。機会は等しく与えられていたと思いますし、公立校で学んだことで不利益を被ったこともありませんでした。でも、オーストラリアでは、公立校に通うことは差別待遇の一因になりかねないのです。
ここで言っておくと、正直な話、私はその判断ができるほどオーストラリアの学校事情に通じてはいません。ただ、この国に来てすぐに私自身が驚いたことの中にこうしたことがあったというわけです。
私が気づいたもう1つの違いは、オーストラリアの学校では実践的な教育が重視されていることで、この点は有難いですね。子どもたちは自分の意見を自由に表現し、自分自身で体験しながらものごとを学んでいきます。
特に早期教育の方法としては、これは素晴らしいと思います。子どもたちは学校の活動により参加していると感じられますし、机に向かう時間が短くなって、楽しく過ごせますよね。
それ以外にも私が経験したイタリアの学校生活に比べて良いと思ったのが、屋外で過ごす時間です。子どもたちは1日の大半を屋外で過ごすのです。いわゆる食堂を備えておらず、昼食や間食を屋外の校庭で食べる学校も多いようです。
国内ではどの学校でも帽子の着用とSPF30以上の強力な日焼け止めの使用が義務づけられていて、子どものための日除けエリアも随所にあります。
プレッシャーが少ない環境で学べるのは、子どもにとってうれしいことです。学校に入るとすぐ、子どもたちは自ら自分の能力を見つけてそれを伸ばしたり、いろんなことを質問したり、さまざまな活動に進んで参加したりするようになります。

もちろんこれらの主なポイント以外にも、イタリアとオーストラリアの学校で異なる部分はまだあります。特に大きな違いとしては、オーストラリアでは教師が毎年変わること、学校の制服があること、男子校と女子校に分かれている学校が多いこと、年間を通じて生徒への表彰や授賞が多く行われることなどが挙げられます。
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シドニーの大学

特派員

  • アルベルト フェランド
  • 職業土木技師

みなさんこんにちは!私はイタリア出身ですが2012年からオーストラリアのシドニーで土木技師として働いています。
趣味は、海岸沿いの散歩、サーフィン、写真を撮ることです。
旅行が好きで、以前はブログを書いていたこともあります。
私はシドニーを拠点としており、アウトドア派でローカルイベントにも詳しいので、皆さんにシドニーの素晴らしさを知っていただければ光栄です。

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