• 2021.10.15
  • リアルな「ジョーズ」の話
ホホジロザメと言えば、かつては1975年の映画「JAWS/ジョーズ」のような映画作品に出てくる海のモンスターの代名詞とされていました。
その後、状況は少しずつ変わり、昨今ではこの巨大で危険な生き物を間近で見るために海に潜ることを夢みる人も数多くいます。もちろん安全が確保されたケージに入った「ケージ・ダイビング」ですが、この体験ツアーはいつの間にか特定のテーマに特化した観光の目玉になっています。
南オーストラリア州とポート・リンカーン市は、ホホジロザメに大接近するスリルな体験がしたい人ならぜひ訪れたい場所として以前からよく知られています。もちろん、潜る人の安全は水中に沈める頑丈な鋼鉄製ケージの柵が守ってくれますが、オーストラリアのサメは探知が難しいため、サメに会うという目的が果たせるかどうかは保証の限りではなく、そこが難点です。
ただ、ケージ・ダイビングをする人は、私自身もそうだったように「サメに会えるはず」と信じて潜っていますし、統計的にも期待できる数字が出ています。
最初は友人たちの間で話題になり単なる口コミで広まっていましたが、ネットでも跳ねるように動くホホジロザメの画像が投稿され始めたので、私はお金を貯め、これだけを目的にポート・リンカーンへと飛んだのです。いずれにせよ、南オーストラリアの古びたこの集落ですることなんて、他にはあまりないのですが。
ポート・リンカーンが「ホホジロザメの街」になったのは、この沖に浮かぶ小島の沿岸にあるアシカのコロニーのおかげです。このコロニーがあるから、一定数のホホジロザメがこの地域に生息しているのです。
「ホホジロザメのコロニー」という看板ができたことで、これをビジネスにしようと取り組む地元住民も出てきました。
ホホジロザメとのダイビングは、絶対に安全な条件で楽しめる素晴らしい体験です。だからと言って、スリル面で物足りないわけはなく、体内ではアドレナリンが大量に出ますし、その効能で、この体験は消えない思い出としてしっかり心に刻み込まれるはず(初めて知った!)。
現地に行く前、たくさんのウェブサイトを見比べたり情報を集めたり、レビューを読んだりしているうちに、ケージ・ダイビングで何ができるのか分からなくなり、お金をドブに捨てることにならないかと何度も考えてしまいました。実際に現地から戻ってきた今、あのユニークな体験にはそれだけの価値があった、と断言できます。
シャークケージ・ダイビングは通常、朝のめちゃめちゃ早い時間にスタートします。小さな港から小型船に乗り、約2時間かけてアシカのコロニーがあるポート・リンカーン沖の小島へと向かいます。
船の上では美味しいコンチネンタル・ブレックファストを食べながら、ツアー中の安全ルールついてしっかり説明を受けました。
このとき、周遊ルート、ツアー参加中に見られる海の生き物についても詳しく説明してくれました。
その日の乗船者は15人ほどで、私たちのときはその他に5人のクルーも乗っていました。

小島に到着すると、ツアー1番のお待ちかねタイムの始まりです。船尾に固定されていたケージが、クルーの手で水中に沈められます。サメをおびき寄せるため、黒いアシカを模した仕掛けとマグロのエラが海水に投げ込まれました。
ケージに入って潜りサメに会うのに、ダイビングの経験もライセンスも不要です。ケージに入れるのは一度に4人までです。
クルーに手伝ってもらいながらウェットスーツとウェットシューズ、ウェイトを装着すると、順番に冷たい海水の中へ潜っていきました。
ケージに入ったら上部の口が閉められて、あとはサメが現れるのを待つのみです。
これは本当にワクワクする瞬間で、私は予想に反してぜんぜん怖くなくて、ただ興奮するばかりという感じでした。
水があまりに冷たいので、ケージに長時間入っているのは大変でした。最初のサメが姿を現すまでに、30分も待たされました。
ケージは水中カメラの持込みもOKで、最高の写真を撮ることができます。想像していたよりもサメの動きが遅いので、サメがケージにぶつかって来たときは、黒い瞳を正面からじっと見ることができました。あの瞬間は忘れられない!

フォトギャラリー----------------------------------------------------------------







特派員

  • アルベルト フェランド
  • 職業土木技師

みなさんこんにちは!私はイタリア出身ですが2012年からオーストラリアのシドニーで土木技師として働いています。
趣味は、海岸沿いの散歩、サーフィン、写真を撮ることです。
旅行が好きで、以前はブログを書いていたこともあります。
私はシドニーを拠点としており、アウトドア派でローカルイベントにも詳しいので、皆さんにシドニーの素晴らしさを知っていただければ光栄です。

アルベルト フェランドの記事一覧を見る

最新記事

リポーター

最新記事

PAGE TOP