• 2021.10.29
  • OZスラングについて話そう(パート2)
以前のブログで、オーストラリア人が日常的に口にするスラングをいくつかご紹介したことがありましたね。
何年もここで暮らす間に私の英語も変わりつつあり、どんどん「オージー」らしくなっているようです。
まず押さえておきたいのは、発音の点からも、ボキャブラリーや文法の点からも、オーストラリア英語とイギリス英語の違いはアメリカ英語とイギリス英語の違いほど大きくないということ。
これはすべて、おもに歴史的な、そして政治的な理由によるものです。イギリスの植民地として誕生したけれど、18世紀以降は完全な独立国となったアメリカ(合衆国)に対し、オーストラリア(一般的に言えばオーストラリア大陸)は現在もイギリスの女王が統治するイギリス連邦王国の一部です。そんなわけでグレートブリテンと政治的に繋がっていますから、その慣習や伝統が多く残っているのも当然なのです。
オーストラリアの人口の大部分をアングロサクソン系が占めているのは、今も変わりません。オーストラリア英語に比べてアメリカ英語が時と共にもっと大きく変化し変遷していった理由は、こういった事実を考えれば分かりますね。
イギリス英語からかけ離れてしまったアメリカ英語とは異なり、イギリス英語とオーストラリア英語との違いはおもに発音に関するもので、文法的な相違点はほとんどありません。
イギリスの首都ロンドン(厳密にはもともとイーストエンド地区)をはじめ、イングランド南東部でよく耳にするような、ロンドンなまりのいわゆる「コックニー」をそのまま受け継いでいるのがオーストラリア英語の特徴です。現在もオーストラリア住民の多くは遠く離れたロンドンにルーツをもち、よほど大げさな口調でもない限り、オーストラリア人のアクセントはロンドンのものと間違われやすく、その逆もまた然りです。
ロンドンなまりのコックニーは、何世紀にもわたってアイルランドやスコットランドのアクセントが加わり、実に様々な独自の表現が増えて語彙も豊かになりました。オーストラリア英語の特徴として知られる、バラエティに富む独特の表現というのは、オーストラリアに移住したイギリス人たちが話していた、18~19世紀のコックニーの言葉がもとになっています。実際の話、コックニーには今も外国人に理解しづらい奇妙な表現が多いのですが、昔はもっと表現豊かな言語だったのです。
言葉遣いとしては今も変わらず独特ではありますが、この昔ながらの言い回しが昨今のコックニーからも、ざっくり言えばイギリス英語全体からも忘れられてしまって、むしろオーストラリア英語の中で生き延びているという感じです。それに加えて存在するのが、イギリスの囚人たちが話していた、あの特殊な表現。イギリス人の流刑地として生まれたのがこの国であるという歴史を、私たちは記憶に留めなければなりません。
これらの要素がすべて混ざり合った結果、アングロサクソン系の世界においては数の多さと異質さで知られる、オーストラリアならではの表現が多く生まれたわけです。イギリス人を指す「pommy(ポミー)」、イギリスを意味する「pommy land(ポミーランド)」の2語は、その最たるものでしょうか。
オーストラリア英語の習慣として、普通名詞でも固有名詞でも、指小辞の語尾に母音(一般的には「o」)が付くというものがあります。「o」で終わる単語というのは、イギリス英語にもアメリカ英語にもほとんど存在しませんが、オーストラリア英語ではそれほど珍しくありません。
発音に関して言えば、すでにご説明したようにコックニーに非常によく似ていて、単語の最後の音節をしっかり伸ばして発音します。たとえば 「corner」(コーナー)は「conaa」(コーナアー)、「guitar」(ギター)は「ghitaa」(ギタアー)みたいな感じ。それとは逆に、アメリカ英語の「gotta」や「wanna」のごとく、いくつかの単語を一語に縮めてしまう(例: 「could have been」は、ほぼ「coudda been」になる)というのも、オーストラリア人が意図的によくやる話し方です。
オーストラリア英語に親しむなら、自分の耳でじかにリスニングするのがとにかくベスト。映画やTV番組を原語でリスニングすれば、実際に生で聴くのと同じように、言葉やアクセントの特徴を理解するのにも役立つでしょう。
そこで、数ある(しかも良質の)オーストラリアの作品の中でも特に個人的にお勧めしたいのは、「ウェントワース女子刑務所(Wentworth)」や「ウォンテッド! ローラ&チェルシー(Wanted)」のTVシリーズです。

特派員

  • アルベルト フェランド
  • 職業土木技師

みなさんこんにちは!私はイタリア出身ですが2012年からオーストラリアのシドニーで土木技師として働いています。
趣味は、海岸沿いの散歩、サーフィン、写真を撮ることです。
旅行が好きで、以前はブログを書いていたこともあります。
私はシドニーを拠点としており、アウトドア派でローカルイベントにも詳しいので、皆さんにシドニーの素晴らしさを知っていただければ光栄です。

アルベルト フェランドの記事一覧を見る

最新記事

おすすめ記事

リポーター

最新記事

おすすめ記事

PAGE TOP