当然ながらオーストラリアでは夏にクリスマスを迎えるため、クリスマスに合わせた挙式がとても人気です。気候が良くて仕事も休みに入る時期なので、誰しも予定が立て込むクリスマスの週でも、こうした行事に出席しやすいというわけです。この季節のウェディングは、クリスマスという一大イベントの中の一つのイベント、つまりクリスマスという名のパーティの中の一つのパーティであり、いわばマトリョーシカ人形の入れ子のような位置づけになっています。
クリスマス婚にはとてもポジティブな意味もあります。新しい門出とはよく言ったものですが、それは言葉の綾ではありません。クリスマスの白(シドニーのクリスマスは雪とは無縁ですが…)と、結婚式を象徴する白との相乗効果で、目の前はまさに「オール・イン・ホワイト」の世界。式のドレスコードを「オール・イン・ホワイト」にする人もいるようですが、それはあくまでも一部の人たちの話。ウェディングパーティの会場で、自分のドレスの色が招待客みんなの衣装の色と被ってもかまわないと思う花嫁は少ないはずです。
あえて同色を望む人々に関して言えば、信仰の復活や異端者の再生、生命力を象徴する赤と白の混合が、クリスマス婚の究極の選択として好まれるのだとか。
とは言え、すべての人生が黒か白(この場合は、赤か白?)のどちらかに決まっているわけではありませんよね。そのほかにも灰色、金色や銀色、緑だったり薄いブルーだったり、その色合いはさまざま、そしてどの色であろうと真っ白な人生を羨ましがってはいませんから。
お祝いごとをして盛り上がる都会人も、広々とした田舎に暮らしている人も、オーストラリア人はみんなパーティが大好き。中でも結婚式は一世一代のイベントなのです。
伝統的なウェディングケーキと言えば大抵はフルーツケーキで、新郎新婦が二人で入刀し、招待客にふるまいます。
私が参列したのは、12月18日にクイーンズランド州で行われた結婚式。式が終わって、花道を歩いてくる新婦の手首に、招待客たちが幸せを呼ぶサテンのリボンを付けてあげるという場面もありました。
披露宴では招待客の誰かが指名されて、お祝いのカードを読み上げていました。外国や遠方にいるため当日参列できない人たちから、本当に楽しく愉快なメッセージが送られていましたよ。
披露宴の最後はみんなが作った輪の中に新郎新婦が入って、来てくれた人たちに感謝の挨拶をしていました。
この日の式がまさしくそうでしたが、オーストラリアには大きな木の下で結婚式を挙げるというロマンチックな習わしがあります。
その習わしでは、あらかじめ決めておいた木の下で、夫婦が愛を誓い合ってキスを交わすことになっています。挙式の場所が決まったら、その木の下で婚約記念写真を前撮りするカップルもいます。これは、木が「母なる大地」の豊饒、すなわち「夫婦が子宝に恵まれる」という吉兆を象徴するため、女性の出産を願って行われていた儀式の名残です。
夫婦にとっても招待客にとっても大切な一日にふさわしい雰囲気をつくり上げるうえで、場所選びが極めて重要な意味をもつことは言うまでもありません。
多くのオーストラリア人の例に漏れず、その日の結婚式が挙げられたのも大きな木の下、その後の披露宴の会場は大きなお屋敷でした。
お屋敷の中は、ホテルの入った美しい建物、古い納屋のそばにあるプール付きのフィットネスセンター、乗馬用の厩舎と小さな農場、披露宴のためのレストランまであるという充実ぶり。
とても美しいウッドテラスのあるレストランは、パノラマ風景が楽しめる絶好の場所にあり、店のテーマでもあるユーカリの木々に囲まれていました。郊外でシックなクリスマス・ウェディングをするには、まさにもってこいのロケーションだと思います。料理には最高級の食材が使われていて、出てきたワインの多くは地元産のものでした。
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