ブッシュウォーキングという単語自体がオーストラリア生まれで、「ブッシュ(未開発の森林)」でのハイキングを指し、ブッシュにはオーストラリアの有名なアウトバックや熱帯雨林も含まれます。オーストラリアとニュージーランドで英語を話す人たちの間では普通に使われている言葉です。
この国でブッシュと言えば、オーストラリア全土に見られる、様々な植物が集まった場所。森林と低木帯が一体となり、草木が密集しているところが多いです。
ブッシュウォーキングとは、一般的にオフロードを歩くハイキングのことです。この国では道ではないところを歩いても違法ではなく、国立公園の中であってもそれは変わりません。
コアラやディンゴ、ワラビー、ハリモグラなどの野生動物の写真を撮りに行くとか、手つかずの自然が残るスポットを発見する、あるいはまた、滝のそばで水浴びをする、などといったことが通常、目的とされています。
木や草がうっそうと生い茂る中、ましてや道なき道を歩いて通るのは大変なので、周囲の木や枝を取り除く「クリアリング」の作業が必要になることもあります。
オーストラリアには、ブッシュウォーキングの推進や環境保護を専門に活動する様々なブッシュウォーカーの協会や団体があります。こうした団体は色々なイベントを企画して、人々に環境への負荷の少ないウォーキングへの参加を促し、クリアリングやゴミのポイ捨てなどによって美しい自然が損なわれることのないように努めています。
ブッシュウォーキングは、オーストラリアの国立公園や国有林で行われることが多いです。
子どもから高齢者、そして「ガチ」のブッシュウォーカーまで基本的に誰でも、灼熱の夏でも雪景色の冬でも一年じゅう自然を楽しめるのが、このタイプのアウトドア活動の良いところです。
ハイキングには、2人以上のグループで行くことが推奨されています。この国において単独で探検に挑戦すると、気温の高さにやられたり有毒動物に遭遇したり、迷った末に負傷したりする危険が付きまとうからです。ハイカーがケガを負って何日も身動きがとれなくなってしまう有名な映画もありましたよね。
もしも海外から来て、普段は街中など人が多いところばかり歩く生活をしている人なら、アウトバックやオーストラリアのブッシュに出かけるには最大限の注意が必要です。文明から切り離された孤立した土地は対応が難しく、足を踏み入れた外国人旅行者は方向感覚を失って迷子になりやすいからです。
そんなわけで、十分に注意して不要な危険を回避しなければなりません。
ブッシュウォークの予定を立てる際に準備すべきものを、以下に挙げてみます。
- 良好な通信サービスもしくは衛星通信サービスを利用していて、GPS機能がついている携帯電話を用意する。
- 前もってルートを決めておく。地図は必携。
- 水と食料はたっぷりと用意する。
- 知人に行き先と帰着予定を伝えておく。
- 出かける前に天気予報をチェックする。極端な高温時や低温時の決行は避ける。
- ルートの全行程距離と難易度を確認する。難易度の高いコース、あるいは自身が初心者の場合は地元のガイドに同行してもらうのがよい。
- 歩きやすいシューズ、長袖の服と長ズボン、帽子を着用する。
- 日焼け止めは必須。虫よけも大いに推奨。
- 雨具や防寒具を忘れずに。気温が急に下がることも珍しくない(オーストラリアは気温の上下が激しい)ので。
- 標識があれば注意して見る。
こうした対策をしっかり立てておけば、道中も慌てることなく、ブッシュウォーキングで出会える美しさを存分に堪能できるでしょう。
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